タイムトラベルによる歴史改編を取り締まる警官の活躍を描くSFアクション。

タイムコップ

TIMECOP

1994  アメリカ

98分  カラー



<<解説>>

ピーター・ハイアムズが、『ブレードランナー』、『エイリアン2』のシド・ミードと『2010年』以来、久しぶりに手を組んで撮ったコミック原作のSFアクション作。内容はタイム・トラベルもので、時空を超えた犯罪を取り締まる警官の活躍を描く。主演は、『サイボーグ』、『ユニバーサル・ソルジャー』といったSFでの主演経験もある肉体派ジャン=クロード・ヴァン・ダム。SFとアクションが分かりやすく組み合わさっていることや、B級という手軽さからか、テレビの洋画劇場では、“ネタにつきたらコレ”といった勢いで、頻繁に放映される。
タイムマシンの大げさな造型、帰還モジュールという小道具、歴史への影響を波紋という形でビジュアル化するなど、設定や概念にSF的遊び心あって楽しい。南北戦争時代から幕を開けたかと思えば、現代へ舞台が移り、さらに、世界恐慌時代、10年後の未来へと目まぐるしく展開する物語も、なかなか引き込まれるものがある。もちろん、肉体派のヴァン・ダム主演だけあって、格闘アクションも見どころ。体の柔らかさを活かした大開脚は歓声ものだ。しかし、そのせいか、ハイアムズ監督作というより、ヴァン・ダム映画という印象が強い作品になっている。
複数の時代を行き来するのは前半だけで、後半は、舞台が1994年と2004年の二つの時代に整理される。物語も主人公の時空治安維持の警官とタイムマシンで世界征服を企む大統領候補との戦いに絞られていく。四次元的な追跡劇というのが面白いところで、すんでのところで敵が未来に逃げてしまったりするなど、タイム・パラドックスをからめたサスペンスが中心となってくる。脚本は荒っぽさがあるのの、主人公の妻の死という伏線が活かされるという展開は期待に応えてくれる。妻が殺されるのを防ごうとする男の死闘には熱くこみ上げるものがあり、ヴァン・ダム映画にしては珍しく、叙情的なクライマックスを見せる。



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