物体縮小技術で人間を動物の体内に入れるという世紀の実験。
ところが、トラブルの発生により、テストパイロットを乗せたポッドが
通りがかりのスーパーの店員の体内に注入されてしまう。
SFコメディ。

インナースペース

INNERSPACE

1987  アメリカ

120分  カラー



<<解説>>

『グレムリン』のダンテとスピルバーグによるSFXコメディ。縮小化した人間が人体の中へ入っていくという、同じアイデアの名作『ミクロの決死圏』を思わせる物語。人体の内部の映像は前作のように絵画的なものではなく、現在でも十分リアルに思えるほど精密に描写されてて、このリアルな人体の内部での大冒険を期待させる。しかし、前作のように人体内部での冒険を主に描くのではなく、たまたま、縮小化されたポッドを注入されてしまった不運な男の冒険に力が注がれているところが、なんとも人を食っている。
縮小化のテストパイロットと、彼を体に入れられたてしまったスーパーの店員が、物体縮小化技術の鍵であるマイクロチップをめぐる争奪戦に巻き込まれてしまう。二人は、中耳に接続したセンサーで連絡をとりあいながら、次々と巻き起こる困難に力を合わせて立ち向かってく。「縮小化するためにはチップがひとつ必要だが、解除するにはふたつ必要」という設定はご都合主義的だが、SFとしての整合性をもとめるよりも、活劇を見せることに重点が置かれているようだ。人体の縮小化というはじめの設定からは想像もつかないアグレッシブな展開になり、思いもよらないスタントやカーチェイスなどの派手なアクションを見せる。義手をアタッチメントで様々な武器に変える殺し屋や、痛みに強い謎の売人“カウボーイ”の登場、また、体の内と外での奇妙な三角関係というちょっぴりせつないラブコメ的要素など、遊び心ある演出も楽しい。
性格の対照的な二人の主人公を演じたのはデニス・クエイドとマーティン・ショート。二人のやりとりが愉快だが、特に「サタデー・ナイト・ライブ」のコメディアンであるショートが様々な表情で笑わせてまれる。メグ・ライアンは本作で注目を集めて売れっ子になり、共演したクエイドとは後に結婚した(現在は離婚している)。
ちなみに、公開当時、日本語訳のアドバイザーとして、ビートたけしと高田文夫が関わったことが話題になった。



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