美人三姉妹のいる地方の名家で起こった殺人事件。
それは出されなかった手紙に記された殺人計画の通りだった!?
エラリー・クイーンの小説の映画化。
配達されない三通の手紙
1979
日本
131分
カラー
<<解説>>
エラリー・クイーンのミステリ小説「災厄の町」(別題「ライツビルの殺人事件」)を日本を舞台にアレンジし、豪華キャストで映画化した大作。
地方の名家で起こった殺人事件と殺人計画の記された手紙の謎、そして、手紙を発端にした悲劇の連鎖を描く。当時としては海外文学の翻案ものというのも珍しいが、探偵役がホームステイの外国人というのも挑戦的。
監督の野村芳太郎は、松本清張の原作の映画化に精力的に取り組んていた時期でもあった。そのイメージもあって、どことなく清張っぽい物語に見えるが、それほど違和感なく翻案が成功しているとも言える。
栗原小巻、松坂慶子、小川眞由美といった女優陣の共演がとにかく華やか。対して、ホームステイのボブ役の蟇目良は、当時テレビでは人気者だったが映画出演は本作がはじめて。物語の都合上、前者が次々と退場していくため、事件の真相に向って盛り上がっていくのに、画面的には尻すぼみが否めないのがなんとも惜しい。
<<ストーリー>>
山口県の良家・唐沢家には美しい三姉妹がいた。次女・紀子には藤村敏行という婚約者がいたが、ある日突然、彼は失踪してしまった。それから三年後、紀子のもとに敏行が戻ってきた。父の光政は二人の結婚に反対するが、喜びの絶頂にあった紀子は、それを押し切って敏行と結婚した。
結婚式のあと、敏行の妹と名乗る女性・智子が唐沢家にやってきた。ある夜、三女・恵子と、唐沢家にホームステイしている青年・ボブは、紀子が敏行の荷物を見て顔色が変ったのを目撃。その原因が、敏行が妹へ宛てた三通の手紙にあるらしいことを、恵子とボブは知った。奇妙なことに、手紙の日付は未来のもので、内容は妻の死を知らせるものだった。
第一の手紙の日付の日、紀子はワインを飲んだ直後に吐いた。恵子とボブは、敏行が毒物学の本を持っていたことで不審に思い、紀子のグラスを調べるが、異変は見つからなかった。
第二の手紙の日付の日、紀子の飲み物から砒素が検出された。恵子の婚約者である刑事・峰岸が調査を始めるが、紀子は殺虫剤を不注意で飲んでしまったと弁明したため、真相は不明に。
そして、第三の手紙の日付けの日。その日は敏行の誕生日でもあった……。