ロックンロールの女王ティナ・ターナの波乱の反省を描いた自伝の映画化。

TINA/ティナ

1993 アメリカ

118分  カラー



<<解説>>

“ロックンロールの女王”と称される歌手ティナ・ターナの自伝を映像化した作品。スターの輝かしいサクセスの裏側にどのような苦労と困難があったのかを、自ら赤裸々に描いている。よくある話としては、例えばそれは戦争だったり、差別だったり、貧困だったりするのであるが、本作の主人公が見舞われる問題として取り上げられるのは、夫からのドメスティック・バイオレンスである。それは、今も昔も女性が直面する現実的なトラブルとしては、もっとも苛烈であるととも、もっとも一般的なものと言える。本作は女性には共感と勇気を与え、一方の男性には戒めを与えることになるかもしれない。
主演のアンジェラ・バセットは体型から作り込んで役に挑み、DV夫との血みどろの闘い(文字通りの流血沙汰もあり)を熱演している。そのように激しい内容のドラマであがるが、同時に、二十曲以上におよぶ曲を使用した贅沢な音楽映画でもある。なお、彼女の転機の一つとして仏教の信仰が登場するが、実際は創価学会の海外組織「創価学会インタナショナル」のことである。



<<ストーリー>>

幼い頃に祖母と暮らしていた少女アンナ・メイ・ブロックは、自分は捨てられたと思っていたが、高校生になると母親のもとに戻って一緒に暮らし始めた。歌の上手なアンナは、町のナイトクラブのステージに飛び入りで上がったことをきっかけに、ロック・バンドのリーダーのアイク・ターナと出会った。アンナは歌の才能をアイクに見初められ、彼のバンドに加わわることに。バンド活動を通して、アンナはアイクと親密になり、やがて彼の子共を身ごもった。
アンナの“ティナ・ターナ”としてのデビューも決まり、仕事も私生活も順風満帆になるかに見えた。だが、アイクからの扱いは酷く、出産直後に無理やりツアーに参加させられた。さらには、アイクの前妻のロレインからは、彼女の子供を押しつけられてしまった。アイクは自分の思い通りにならないと暴力をふるう性質であり、そんな彼の仕打ちに絶えかねたアンナは、子供たちを連れて家出を試みるが……。