記憶喪失の男は妻を殺した愛人の存在を思い出し復讐心を燃やすが、
そこには精神科医のある策略があった。
チャールズ・ブロンソン主演のクライム・サスペンス。
扉の影に誰かいる
QUELQU'UN DERRIÈRE LA PORTE
1971
フランス/イタリア
97分
カラー
<<解説>>
ジャック・ロベールの犯罪小説の映画化。アクション映画のイメージの強いチャールズ・ブロンソンが記憶喪失という難役を静かに演じ、新境地に挑む。精神科医の役に『サイコ』のアンソニー・パーキンス。記憶喪失の男が妻と信じる女性の役にブロンソンのパートナー、ジル・アイアランド。
物語はほぼ精神科医の邸宅の中で展開されるという、一種の密室の心理劇である。さらに、精神科医は嘘を話し、記憶喪失の男はその嘘を信じ込まされるので、ある意味、劇中でも二人は役を演じているという二重構造の劇になっている。代わり映えしない舞台の中、役者たちの演技合戦でみせてくタイプの作品であり、ブロンソンは虚構と現実の記憶のはざまで徐々に追い詰められていく男を好演している。
<<ストーリー>>
海岸で記憶喪失の男が見つかり、精神科医ローレンスの勤める病院に運び込まれた。ローレンスは男を自宅で引き取り、治療を始めた。まず、ローレンスは男に所持品の日記を見せた。日記によれば、男にはフランシスという妻いたが、その妻はダミアンという男に殺されたのだという。男はそれを信じるが、実は、それらはすべてローレンスのでっち上げだった。
その頃、男のいた海岸で女の死体が発見された。男は自ら暴行した女とフランシスの記憶を混同し、ダミアンへの憎悪を育てて行った。ローレンスは邸宅を出て行こうとする男を、ダミアンに家に呼ぶという約束することで引き留めた。
やがて、約束通りダミアンが男の前に現れるが……。