海賊の宝の地図を手に入れた少年たちの冒険を描くアドベンチャー。
グーニーズ
THE GOONIES
1985
アメリカ
114分
カラー
<<解説>>
スピルバーグ製作総指揮、『オーメン』、『スーパーマン』のリチャード・ドナー監督のファミリー向けアドベンチャー作。落ちこぼれ少年“グーニーズ”たちの勇気と友情、恋と冒険を危機また危機の連続で描く。児童文学の古典、スティーヴンソン「宝島」の現代版、あるいは、子供版「インディ・ジョーンズ」といった趣であるが、世界を股にかける大冒険ではなく、生活圏での身近な宝探しであり、それを子供たちだけで行う様を描くことで、当時の少年たちの心をとらえることに成功した。
脱獄シーンで開幕し、間髪入れずにカーチェイスが続き、その後も子供の興味を引くような活劇と謎解きの連続で構成されている。途中でだれることなく、冒険が終われば即閉幕で、余計なエピローグもなし。初めから終わりまで息つかせなく、とにかく楽しい映画である。グーニーズと財宝をめぐって争うライバルとして犯罪者一家を登場させ、冒険をさらにスリリングにする。長男がご陽気にオペラを歌う、次男が薄毛を気にしている(カツラがすぐとれちゃう)等ユーモラスな面もあるが、普通に人を殺していたりまあまあ凶悪。三男はアンダーウェアとしてスーパーマンのシャツを着用しているのは、監督の自作のセルフパロディである。
アドベンチャーとして振り切った結果、青春映画の要素は乏しく、少年たちが冒険を通して少し大人になる、と言うような『スタンド・バイ・ミー』的な成長はほとんど見られない。主人公の少年は、よく言えば真っ直ぐな性格、悪く言えば思い込みの激しい人物として設定されている。少年物にありがちなように一見、頼りなさそうではあるが、その実は、驚くべき指導力、統率力、加えて、勇気を持ち合わせている。既に成長の余地はないわけである。彼の特に抜きん出ている能力は演説力であり、情感に訴える、いわゆるWエモいW演説は本作の見どころの一つになっている。
本作はビデオゲーム化され、映画のゲーム化の走りとなった(これまでも映画のゲーム化はあったが、成功例は少ない)。時代はくだって現在は、逆にゲームの映画化が一般的である。歌詞の内容と関係なく曲名に“グーニーズ”のを織り込んだ、シンディ・ローパーの主題歌もヒット。ゲームに音楽とメディアミックス的な展開となった。また、撮影場所であるオレゴン州の海辺の町は、その後、町は本作のロケ地として、観光地化された。本作の人気は後世にわたって根強く、監督は続編の作成に意欲的で度々話題にあげていたが、実現することく2021年に死去した。
<<ストーリー>>
郊外の町グーンドックスの斜面に建つマイキー・ウォルシュ少年の家は、ゴルフ場建設のために立ち退きを迫られていたが、生まれ育ったこの町が好きなので、引っ越しなんてまっぴら。同じく立ち退きを迫られている友達、口が達者でスペイン語の得意なマウス、太っちょでホラ吹きのチャンク、出来損ないの発明ばかりしている中国人データの三人もマイキーと同じ気持ち。マイキーの兄のブランドだって同じだったが、特に彼の場合は、ガールフレンドのアンディをめぐる恋のライバルであるトロイが、ゴルフ場開発をすすめている企業の社員なのだから屈辱的である。マイキー、マウス、チャンク、データの四人はグーニーズ(マヌケ軍団)を名乗っていつもつるんでいた。そして、立ち退きの期限が明日に迫った週末のその日もマイキーの家に集まってきた。彼らがそれぞれ別の町に引っ越す前に一緒に過ごす最後の週末になるはずである。
マイキーの父アービングは博物館の職員で、屋根裏には珍しい物たちが保管されていたが、父から屋根裏が上がることを禁じられていた。そのことを知ったマウスにそそのかされ、マイキーの母が買い物に出ている隙に皆で屋根裏をのぞいてみることになった。マイキーは珍品の中かから一枚の古びた地図を見つけた。1632という年号が記されていたのを見て、マイキーは父から聞いた海賊の伝説のことを思い出した。片目のウィリーという名のその海賊は、財宝を盗むことに成功するが、英国海軍に洞窟に追い込まれた。そのまま洞窟に閉じ込められたウィリーは財宝を独り占めするために仲間を殺し、侵入者から財宝を守るために洞窟内に数々の罠を仕掛けたという。
地図と一緒に見つけたのは、片目のウィリーの財宝を探しに出発したきり消息を絶った探検家チェスター・コッパーポットのことを報せた新聞記事だった。記事との関連から地図が財宝の在処を指し示すものだと確信したマイキーは、もし財宝を手に入れれば立ち退きから家族や友達を守れるはずだと思案した。喘息を患うマイキーは、体に触るからと母から外出をきつく禁じられていたが、グーニーズの仲間と共謀して監視役である兄ブランドの椅子に縛り付けると、仲間と一緒に地図に示されたコルドロン岬へと自転車て繰り出した。
グーニーズの一行は地図に導かれるまま、岬にぽつんと建つレストランの前までやってきた。営業していない季節なのになぜか人の気配があった。チャンクはガレージに停められていた車の後部に銃弾の穴を見つけ、震え上がった。彼は今朝、脱獄囚がFBIとカーチェイスを繰り広げているのを目撃していたからだ。まさに、レストランの中にいたのは、犯罪一家のフラテリ一家というギャング、すなわち、今朝、脱獄したばかりの長男ジェイク、その弟フランシス、そして彼ら母の三人だった。そうとは知らずにレストランに踏み込んだマイキーたちは、フラテリ一家に散々脅かさせることに。マイキーはトイレに行きたいと嘘をついて地下室に降り、財宝の手が借りを探そうとするが、奥の部屋で鎖に繋がれた恐ろしい顔の怪物と遭遇して肝を潰した。
グーニーズは彼を連れ戻しにきたブランドに捕まってレストランから引き摺り出され、財宝探しを諦めかけるが、ちょうどフラテリ一家が出かけていくのを見て、もう一度レストランの中へ。そこへブランドを追ってきたアンディとその友達のステフも現れ、行きがかりで居合わせた七人全員でレストランの地下へと降りた。そこで彼らに見たものは、贋金の印刷機と冷凍庫に隠されたの捜査官の死体だった。そこでようやく、彼らはレストランに居たのが凶悪犯罪者だと気付くが時すでに遅かった。フラテリ一家が戻ってきてしまった。一階に上がれば一家と鉢合わせしてしまう。マイキーたちは暖炉の下に洞窟の入り口があることに気付いき、急いでそこへ飛び込んだ。チャンクは一人だけ逃げ遅れるが、ちょうど明り取りの窓を見つけて、フラテリ一家が地下に降りてくる寸前にそこから脱出した。
マイキーたちが洞窟を進むと、水道管、ガス管、下水管が剥き出しになった場所に出た。菅を叩けば外に居る人に気づいてもらえるかもしれないと考え、皆で叩きはじめるが、叩きすぎて水道管を破裂させてしまった。自ら逃れるため、一行は洞窟の奥の方へ行かざるを得なくなった。その先には骨になった死体があった。状況からすると大きな岩に押しつぶされて死んだと思われる。マイキーは、死体の傍にあった財布で身分証を確認し、それがコッパーボットであることをを知ると、財宝の存在を確信を強めた。一方、レストランを出たチャンクは、通りかかった車を止めてドライバーに助けを求めるが、運悪く、死体を別のところ運んでいたフラテリ一家の車であり、彼はそのまま捕まってしまうのだった……。