冴えない教授が自ら発明した薬品で色男に大変身!
大学を舞台にしたどたばたコメディ。

底抜け大学教授

THE NUTTY PROFESSOR

1963  アメリカ

107分  カラー



<<解説>>

アメリカの五十年代を代表するコメディアンのひとり、ジェリー・ルイスの監督・脚本・主演作。ルイスは五十年代に歌手のディーン・マーチンとお笑いコンビを結成し、二人の主演するコメディ映画を連発。五十年代半ばにコンビを解消した後も、“ボケ”役のルイスがコメディアンとして独り立ちして、主演映画を発表し続け、六十年代に入ると監督としてデビューした。本作は監督作として四本目である。九十年代にエディ・マーフィ主演で『ナッティ・プロフェッサー クランプ教授の場合』としてリメイクされた。日本では、ルイスの主演映画はコンビ時代も含めてほんどに「底抜け〜」という題名が付けられているが、シリーズものではない。ルイスのカートゥーン的なおどけた所作は、加藤茶と志村けんのコンビの芸風に影響を与えていることで有名。スコセッシの『コング・オブ・コメディ』には、伝説のコメディアンの役で出演している。
大人しく真面目な科学者が薬品によってマッチョに変身するという、そのまま「ジキル博士とハイド氏」を下敷きにした作品である。もちろんホラーではなく、教授の変身によって巻き起こる騒動と、ヒロインである女子学生とのロマンスを面白おかしく描いていたコメディである。あえて安っぽいセット、冒頭のお決り的な爆発シーン、なぜかカメラ目線のヒロイン、そして、エンディングは出演者のカーテンコールといったふうに、テレビのコメディ番組のコントを意識したような作りが特徴。いつもふざけた姿しか見せていなかったジェリー・ルイスが二枚目を演じ、クライマックスではちょっと感動させてくれるという意外性が最大のギャグである。しかし、リメイクされたことによって代表作になってしまった今、本作を「底抜け」の入門して観る人にとっては、そのギャグが伝わりづらいかもしれない。



<<ストーリー>>

大学教授のケルプ教授は化学の天才だったが、まったく冴えなく情けない男。いつも学生たちにからかわれているケルプを、女子学生のステラだけは心配していた。教授は学生たちを見返しすため、人格を変える薬品を開発。そして、その薬を飲んで自信たっふりのナイスガイ“バディ・ラブ”に大変身した。
バディは学生たちの前に現れてステラを口説くが、誰も彼が教授とは気が付かず、歌とダンスの得意な彼に一目を置いた。ケルプは教授とバディの二重生活を送るようになったが、やがて薬の効果が不安定になり、ときどき教授とバディが勝手に入れ替っては大慌てすることに。ステラは教授とバディの双方に惹かれながらも、二人の関係を不審に思い、目を光らせていた……。