殺人鬼の魂が宿った人形に襲れる人々の恐怖を描くオカルト・ホラー。
チャイルド・プレイ
CHILD'S PLAY
1988
アメリカ
87分
カラー
<<解説>>
人間によく似せた人形に対して、愛らしさとは裏腹に不気味さを感じるという、人間の心理をうまくついた新感覚のホラー。残虐な殺人鬼の魂が乗り移った子供の人形“チャッキー”が、次々と殺人を犯していくという設定により、誰もが人形に抱く生理的な違和感を、人形による凶行という形で劇的に具現化してみせた。
人を和ませるはずの存在が残虐行為におよぶという、ギャップによる恐怖演出は、キングの『IT』と類似の発想ではあるが、そのあたりが本作は徹底している。声こそ大人であるものの、子供の姿をしたものが口汚い暴言を吐くことの衝撃はもちろん、チャッキーがどんなに酷いことをしても、ちょこまかと歩き回る姿をかわいらしく感じてしまうことの驚き! 図らずも、無垢であることの無敵さにも気づかされる。
当初の構想では、チャッキーは殺人鬼できなく、孤独なアンディ少年の想いに応える様に魂が宿ったという設定で、チャッキーが周囲の人々を敵視するのも単純な悪意ではなく、アンディ少年をとられることへの嫉妬からであるという、心理スリラーだったそうだ。しかし、完成した作品では、そうした複雑な背景を取り払らわれ、荒唐無稽なオカルトチックな設定による、完全無比な悪役と無辜の母子の対決という勧善懲悪スリーリーするこで、大衆的な支持を得た。チャッキーの特撮については、80年代末にしてはチープではあるものの、操演と演技を組み合わせることで、生き生きとした動きを見せている。
『13日の金曜日』(1980)のジェイソン、『エルム街の悪夢』(1984)のフレディに遅れる形にはなったが、そのインパクトのあるキャラクターで、彼ら並んで80年代ホラーのアイコンとなり、後のホラーへの影響やパロディを生んだ。ヒットを受け、当然シリーズ化されたが、非常に息が長く、2017年までに第七作まで作られている。昨今のリブート・ブームに乗る形で、『13日』と『エルム街』が再映画化されたが、本作も2019年にリブート版が公開された。
<<ストーリー>>
刑事ノリスに追い詰められ、殺人鬼レイが逃げ込んだのは、おもちゃ屋だった。ノリスに撃たれたレイは、ノリスや自分を裏切った犯罪仲間への恨みを込めて、謎の呪文を唱えながら、死んだ。
六歳の誕生日を迎えたアンディ少年は、母親カレンに、人気で入手の難しかった、おしゃべり人形“グッド・ガイ”のチャッキーを買ってもらい、大喜び。その夜、忙しいカレンに代わって、アンディの面倒を見ていたカレンの親友マギーが窓から転落死した。
アンディはチャッキーの話す言葉から、彼がマギーの死に関わっているらしいと知った。アンディはチャッキーことをカレンに打ち上げるが、人形が意思をもって事件を起こしたなどとは、とうてい信じてもらえなかった。
翌日、アンディはチャッキーに導かれて、一軒の廃屋にやってきた。そこはエディの隠れ家だった。アンディが目を離した隙に、チャッキーは廃屋の中に姿を消した。次の瞬間廃屋が爆発し、巻き込まれたエディは死んだ。
警察はマギーとエディの両方の事故現場にいたアンディに疑いの目を向けた。ノリスはアンディを警察署へ保護するが、その間、アンディの自宅では、チャッキーが悪の本性を現し、カレンに襲いかかった……。