スーさんが運転手でハマちゃんが社長!?
講演旅行中の手違いで二人の立場が入れ替わったことから起こる騒動を描く。
岩手・釜石を舞台にしたシリーズ第6作。
釣りバカ日誌6
1993
日本
96分
カラー
<<解説>>
岩手県釜石市でロケを行った人気シリーズの第6弾。キャスト、スタッフはいつもの面々。ゲストは久野綾希子と喜多嶋舞。久野は釜石のホテルの仲居で、スーさんのマドンナ的な役回り。喜多嶋はその娘で後半のストーリーに関わってくる。また、「NIGHT HEAD」でブレイク直後の豊川悦司が記者役として登場し、独特の存在感を見せる。ちなみに、下積み時代のネプチューンの二人(原田、堀内)がハマちゃんの同僚役でエキストラ出演していたことも、後年話題に。
物語は、相変わらず多忙な社長・スーさんのボヤキから始まる――週末の講演旅行の行先が、アイナメ釣りで有名な東北・釜石であることを知ったスーさん。釣り三昧を企み、会社に内緒で師匠・ハマちゃんを誘い、二人きりで出発。ところが、地元の観光課の勘違いで、ハマちゃんが社長、スーさんぶ運転手と思われてしまう。その場はどうにか取り繕ったが、あとあと、その誤解が別の騒動を引き起こしてしまうのだった。
第3作でみち子の妊娠、第4作で第一子出産、第5策で赤ちゃんを巡る騒動と、ここ数作で浜崎家の新しい家族のイベントを描いてきた。一通り描ききって、平常運転に戻った一作目にぶつけてきたのは、コメディの鉄板とも言える入れ替わりネタ。これまで5作にわって友情を培ってきた釣りバカコンビだが、ここで立場を入れ替えることで、互いのことを改めて知り、より絆を深めるという、心機一転の好エピソードである。また、みち子はというと、母となったことでまた強くなったのか、ダメな二人の良き相談役としてストーリーに大きく関与し、その存在感を見せつける。ファンとって見どころに欠かない内容だが、余計なサイドストーリーを廃して、入れ替わりギャグだけで一貫させたストーリーは見やすく、「釣りバカ」としてシリーズということを抜きにしても、単純に面白い作品に仕上がっている。
<<ストーリー>>
一之助が社長室に戻ると、アナゴの魚拓がFAXで送られてきた。趣味の釣りの師匠である営業三課の平社員・浜崎伝助からの誘いだった。待ち合わせ場所の釣具店へ向かうと、伝助は31万円の高級リール“フィン・ノール”をうっとりと見つめていた。もちろん買える金などなかった。伝助は一之助に、「見せたいものがある」とだけ言い、今晩、家に来るようにすすめた。
その夜、一之助が浜崎家に行ってみると、伝助はアイナメのための特別な仕掛けを披露した。今度の土曜日に一之助を誘って釜石に出かけ、この仕掛けでアイナメを釣ろうと思いつき、すっかりその気になっていたのだ。だが、社長の一之助は平社員の伝助とは違い、週末も仕事の予定が入っていて、自由に休みをとれるような立場ではなかった。一之助に誘いを断られ、伝助はがっかりした。
翌朝、一日の予定を確認した一之助は、相変わらずの過密スケジュールにうんざり。土曜日も休日返上で市民大学で講演を行うことになっていた。さすがにキャンセルしようとした一之助だったが、行く先は偶然にも釜石だった。一之助は、その夜遅くに浜崎家を訪ね、一人で釜石に出かけようとしていたは伝助に事情を説明。今から車で釜石に向かえば、明日は一日、釣りができるだろうという魂胆だった。早速、二人は釜石に向けて出発。夜通しかけて岩手へ。
釜石に到着した伝助と一之助は、アイナメ釣りをたっぷり楽しんだ。そして、疲れ果てホテルへ。出迎えた市の観光課は、後部座席に乗っていた伝助を社長、運転席にいた一之助を運転手と思い込み、客室に案内。部屋に入るなり二人共ダウンしてしまったため、誤解を解く間もなく、なし崩し的にことが進んでしまった。伝助が社長として歓迎会に出席した一方、一之助は、仲居の澄子と二人で部屋で夕食。澄子は、バスの運転手だった亡き父の面影に一之助を重ね、彼に親しみを感じるのだった。
翌朝、伝助が一之助の部屋を訪ねると、本人の姿はなく、代わりに置手紙があった。今日の講演をよろしく頼む、という内容であり、伝助は真っ青に。一之助は、澄子に誘われて遠野に渓流釣りに出かけていた。すっかり打ち解けた澄子は、東京で働いている娘が今度結婚することになったのだが、うまくやっていけるか心配している、と個人的な悩み事を一之助に話すのだった。
一方その頃、伝助は文化会館のホールの壇上にあった。講演のテーマは「21世紀の未来都市と構想」。だが、満席の聴衆を前にして、伝助の頭は真っ白……。