ノルウェーの首都でイギリス大使誘拐と民間旅客機ハイジャックが同時発生。
保安庁の部長がたった一人でテロリストに挑むサスペンス。

オスロ国際空港
ダブル・ハイジャック

THE TERRORISTS

1974  イギリス

89分  カラー



<<解説>>

ノルウェーのオスロ国際空港を舞台に、イギリス大使誘拐と旅客機ハイジャックという二つの事件と、犯人たに立ち向かう一人の保安部長の活躍を描くイギリス製サスペンス。主演はショーン・コネリー。長年演じてきたジェームズ・ボンドとは異なり、比較的シリアスで落ち着いた芝居で、ノルウェー人のテロ対策のプロをシブく演じる。
『大空港』を皮切りに、七十年代はパニック映画が全盛であった。本作の冒頭の事件発生の派手でスリリングなシーケンスは、パニック映画ブームの流れに乗ったような印象を与えるが、間もなくして、むしろブームを逆手に取った作品で作品であることに気付かされるだろう。パニック・シーンはおろか、流血やアクションも控えめで、主人公と犯人との駆け引きや推理を中心に事件の顛末を描いていく。
過激派とその協力者、イギリス側の交渉役とノルウェー側の保安庁、人質とその家族。国際的な事件という性格上、関係者の立場や考えも様々。それぞの思惑が複雑に絡み合い、息詰まる頭脳戦、心理戦が展開し、二転三転する展開の末に驚愕の真相が明らかに。テロリズムと同時に安全を守る側の暴走を描くことで、安全保障のジレンマと欺瞞を鋭くえぐる。B級と言われながらも、小説的な緻密な構成と、ひょっとした起こりうるかもと思わせるリアルなドラマは、スレたサスペンス映画のファンを唸らせる。しかし、逆に言うと玄人向けの作品である。



<<ストーリー>>

指名手配の国際的過激派、シェパードとその一味が、ノルウェーの首都オスロに現れ、イギリスのパーマー大使を誘拐した。シェパードの要求は、ロンドンの刑務所にいる仲間の釈放だった。交渉役のイギリス大使館の武官バーンズ大尉は、シェパード逮捕に自信を持っていて、早々と要求を飲む準備をすすめた。
一方その頃、オスロ空港で別の事件が発生していた。空港に到着したばかりの旅客機がハイジャックされたのだ。ハイジャック犯、ピートリの目的は、シェバードの逃走を助けることだった。ピートリが旅客機を爆破すると管制塔に脅しをかけ、そのタイムリミットが三時間に迫っていた。
オスロ保安庁のタルビック大佐は、テロリストたちの要求に屈することなく、事態を打開しようと奔走した。まず、旅客機の死角から工作員を送り込もうとするが、失敗。彼らの行動は別の飛行機から監視されていたのだ。
シェパード一味が逃走のために大使館から空港にやってきた。タルビックは、シェパード一味を乗せた車をすり替え、代わりに工作員を旅客機に送り込むことに成功するが……。