逮捕、裁判、刑の執行を一手に担う特殊警官“ジャッジ”の活躍を描く。
イギリスのコミックをスタローン主演で映像化したSFアクション。

ジャッジ・ドレッド

JUDGE DREDD

1995  アメリカ

96分  カラー



<<解説>>

イギリスのコミック作家ジョン・ワグナーの原作の映画化。荒廃した未来を描くディストピアもので、多発する犯罪を、警官と裁判官の権能を併せ持つ“ジャッジ”と呼ばれる存在が取り締まっているという設定。スタローン扮するジャッジを主人公に、陰謀に巻き込まれた彼の姿を痛快なアクションで描く。スタローンは二年前の『デモリッションマン』に続くSF作品での主演。
SFXを駆使した映像は、当時としては目を見張るものがあり、物語の舞台であるメガシティの造形と、そこで繰り広げられる空中アクションは秀逸である。しかし、当時はまだコミック・ヒーローを受容する足場が出来ておらず、全身をプロテクターで固めたスタローンの出で立ちは、面がゆいものがあった。
既に「スーパーマン」や「バットマン」などのポピュラーなコミックは日本でもなじみがあったが、コミックヒーローの映画化はまだ少ない頃である。ティム・バートン版「バットマン」のように作家性を打ち出さず、コミック・ヒーローを掛け値なしに実写化したことは評価に値するが、コミックキャラとスタローンの個性が衝突し、観客を困惑させるという残念に結果ななった。
それなりに見どころはあったのに、10年早すぎたと言わざるを得ない作品である。2012年に再映画化。



<<ストーリー>>

二十二世紀の未来では、世界的に犯罪が多発し、治安維持が追いつかなくなっていた。そこで、犯罪者の逮捕から裁判、刑の執行までの全権を持つ“ジャッジ”と呼ばれる警官に、犯罪の取り締まりが委ねられていた。
首都、メガシティのジャッジの中でも、特に有能で、かつまた特に冷酷でもあった男ドラッドは、伝説的な存在として名をとどろかせていたが、ある日、身に覚えのない殺人の容疑がすけられてしまった。かつての親友で、ドラッドが刑務所送りにしたジャッジ・リコの罠だった。
刑務所への護送中の事故を利用して、脱走したドラッドは、父親のように慕っているジャッジの長官から、出自にまつわる衝撃の事実を知らさせる……。