ゴジラとメカゴジラ機龍の再戦にモスラが待ったをかける。
「ゴジラXメカゴジラ」の続編。シリーズ第27作。

ゴジラ×モスラ×メカゴジラ
東京SOS

2003  日本

91分  カラー



<<解説>>

「ゴジラ」“ミレニアム”シリーズの5作目で、通算では27作目。前作『ゴジラ×メカゴジラ』の直接的な続編で、「モスラ」シリーズの第一作(1961年)の後日談でもある。物語は前作の一年後。ゴジラとの死闘で壊滅的ダメージを受けた機龍の修理中、43年前にインファント島を調査した言語学者・中條の前に小美人が現れ、モスラがゴジラと戦うことを予告する。まもなくして東京に上陸したゴジラに、機龍はモスラと力を合わせて再戦を挑む。
監督は、前作と同じく手塚昌明。前作に続いて、特生(対特殊生物)自衛隊の隊員たちを主人公しているが、前作の主人公の後輩たちの活躍を描いてるため、キャストはほぼ一新。『モスラ』で言語学者を演じた小泉博が同役を42年振りに演じている。登場する怪獣は、ゴジラ、老モスラ、そして、新しく誕生したモスラの幼虫二体。メカゴジラは、特生自衛隊の建造した対ゴジラ用巨大ロボット“機龍”を指しているが、劇中で“メカゴジラ”と呼ばれることは一度もない。ちなみに、タイトルは“ゴジラ×モスラ×機龍”と表示された後、“機龍”の部分が“メカゴジラ”に変わる。東京都内を舞台に、複数の怪獣とロボットが入り乱れた迫力の戦闘が、特撮やCGで描かれる。東京タワーや国会議事堂といった名所がゴジラに破壊されるシーンが見どころである。
“ミレニアム”シリーズの1作目『ミレニアム』のシリアスなSFから、2作目『G消滅作戦』では空想科学ものに舵を切った。そして、『G消滅作戦』を手掛けた手塚による前作および本作もそれを踏襲している。本作の主人公は、特生自衛隊の若き隊員たちであり、彼らの友情や対立を描いた青春ドラマは、(スーパーヒーローは登場しないものの、)ウルラマンやスーパー戦隊に近いテイストがある。主体的に活動する人間にスポットがあたり、ゴジラやモスラは見せ場はあるものの、脇役、というよ背景に近い扱いになっている。だが、それは、人間が怪獣騒動に振り回させるだけの物語を納得させるだけの、SFX、アイデア、想像力を映画界が持ち得ていないことを自覚してのことなのだろう。手塚がゴジラ3作で空想科学ものに徹したのは、背景化した怪獣騒動によって、荒唐無稽なドラマに説得力を与えるという逆転的な挑戦だったのかもしれない。
ラストで初代ゴジラの細胞の存在が明らかにされ、続編がほのめかされるが、続編は作られず、いったんシリーズの区切りをつけた次作『FINAL WARS』でもその伏線は回収されていない。



<<ストーリー>>

特生自衛隊の八王子駐屯地で、一年前のゴジラとの激闘で傷ついた戦闘巨大ロボット・3式機龍の修理が行なわれていた。その頃、太平洋深海に未確認の巨大物体が出現。物体の動向を監視していた習志野の基地では、謎の歌声をキャッチした。
2004年3月26日。機龍の整備士・中條義人は、叔父・信一の別荘で休暇を取っていた。その夜、信一の前にインファント島の小美人が突如として現れた。信一が言語学者として島を訪ねて以来、43年振りの再会だった。
小美人は、機龍の骨組みに初代ゴジラの骨を使ったことは、死者の魂に触れる誤りであり、骨は海に帰すべきだと忠告。もし骨を返すなら、モスラが機龍の代わりにゴジラと戦う用意があることを告げた。小美人が消えた直後、信一、義人、そして、信一の孫・瞬の三人は、別荘の前に現れたモスラの姿を見た。
機龍がゴジラより受けた37パーセンの損傷の修理は終わりかけていたが、最大の武器で“アブソリュート・ゼロ”の動力となる共有結合結晶の調達が出来ていなかった。防衛庁長官・土橋が修理の完了に発破をかけていた頃、機龍隊員たちがアメリカの研修から帰ってきた。義人は、同期の・如月梓と再会を果たすが、彼女の同僚・秋葉恭介とはそりが合わず対立した。一方、信一は、先日の別荘での出来事を総理大臣・五十嵐に報告し、機龍の投棄を進言していた。
九十九里に亀の巨大生物カメーバの死骸が漂着。また、太平洋ではアメリカの原潜が破壊された。その頃、義人は機龍の利用について恭介と激しく対立し、ついに喧嘩になり、防衛庁から呼び出しを受けた。長官政務官の秋葉功は恭介の父であったが、彼は恭介との喧嘩を咎めるために、義人を呼んだわけではなかった。功は機龍投棄派であり、義人に別荘での出来事について確認を求めたのだった。
八丈島近海からゴジラが出現した。土橋は、機龍と戦わせるため、ゴジラを浦賀水道から都内へと誘導させた。都内に避難勧告が出された頃、瞬は、43年前に信一がモスラを呼ぶために描いた紋章を、小学校の校庭に机を並べて描いていた。信一が瞬を発見したとき、紋章に導かれたモスラが現れ、敢然とゴジラに立ち向かっていった。だが、信一は、最終手段である鱗粉による攻撃を行なうモスラを見て、死期が近いことを悟っていた。その頃、小笠原諸島の曾孫島では、小美人が一つの卵に向かって祈りの歌を捧げていた……。