ベトナムの戦場で負傷し顔を失った青年と、
同じ戦場で精神を病み自分を鳥だと思い込むようになった青年。
二人の愛と友情を描くドラマ。

バーディ

BIRDY

1984  アメリカ

120分  カラー



<<解説>>

ウィリアム・ウォートン(『真夜中の戦場 クリスマスを贈ります』の原作者)の同名小説を、ニコラス・ケイジとマシュー・モディーンの主演はで映画化した作品。少年時代からの親友同士がベトナム戦争後に軍の病院で再会。一人は怪我で顔を失い、もう一人は正気を失い自分を“鳥”だと思い込んでいた。病室で親友の正気を取り戻そうとする必死になる青年の苦悩と、彼の回想する60年代の青春を描く。
最後まで顔を包帯でぐるぐる巻きのアル(ケイジ)と、全裸でベッドの端っこにとまるバーディ(モディーン)。ビジュアル的にも内容的にも、ベトナム後遺症を扱った諸作の中で、特に奇妙でユニークな作品である。ユーモラスな少年時代のエピソードと、万人が共感できる普遍的な友情物語で貫くことで、深刻なテーマを軽妙に描いてみせたのは見事。鳥は飛ぶ自信があるから飛べるのだ主張するバーディ。しかし、バーディほど強くないアルは最後には生きていく自信を失う。そんな絶望の中にあって、人を喰ったような前向きなラストが爽やか。



<<ストーリー>>

フィラデルフィアの悪ガキ・アルには、バーディというちょっとヘンな親友がいた。バーディは鳥をこよなく愛していたが、その愛は度を越していて、いつかは自分も鳥になって空を飛ぶことを夢見ていた。彼は持ち前の人並みはずれた勇気と自信でもって、女の子にも目もくれずに、手作りの翼での飛行に挑戦したりするのだった。
バーディはペットショップでカナリヤを手に入れたことをきっかけに、自室に閉じこもるようになった。その時、既に彼の心は現実の生活を離れて、空を飛んでいた。やがて、アルはベトナムへ出征した。あとから、バーディもベトナムへ。
戦場で顔面に大怪我を負って帰国したアルは、軍の病院の精神病棟に収容されていたバーディと再会した。戦場で精神を病んでしまったバーディの正気を取り戻すために、アルは呼ばれたのだ。だが、バーディはアルのことが分からず、部屋の隅に黙ってうずくまっているだけだった。その姿はまるで鳥のようだった。アルの必死の呼びかけにもかかわらず、バーディの症状は変わらなかった……。