第二時大戦の独ソ戦線を舞台に、名誉より戦果を求めるドイツ軍小隊長と、
名誉欲の強く鉄十字章に拘る中隊長の対立を描く戦争アクション。
戦争のはらわた
CROSS OF IRON
1977
イギリス/西ドイツ
132分
カラー
<<解説>>
バイオレンス映画の巨匠、サム・ペキンパー唯一の戦争映画。ペキンパーと言えば、めまぐるしく視点の変わるカット割りと、しつこいくらいのスローモーションを駆使した、独特のバイオレンス演出が特徴。本作ではその演出をふんだんに取り入れた渾身の作品で、ファンの期待通りのアクション大作に仕上がっている。
原題の“鉄十字”とは、ドイツで功績のあった軍人におくられる栄誉ある勲章。主人公の小隊長は、そんな栄誉には関心のない現場主義、というよりももはや戦闘ドランカー的な軍人。一方、彼の上官である中隊長は名誉欲が強く、鉄十字章を得るために小隊長を利用しようとまでする。二人の対立は、やがてソ連との戦争そっちのけの謀略事件に発展していく。
原作がドイツの作家の小説であるため、アメリカの監督が手掛けた第二次大戦ものとしては、連合軍ではなくドイツ軍側から見た描いた珍しい作品となった。しかし、当事者でないことで、西部劇を撮るような感覚で戦争の狂気を寓話的に描くという、自由な作劇が成功したのではないだろうか。
<<ストーリー>>
第二時大戦の東部戦線。ソ連軍の猛攻を受けるドイツ軍は後退を余儀なくされていた。
百戦錬磨の戦闘員スタイナー伍長も自分の小隊を前線から退かせ、中隊のもとへ戻った。彼を待ち受けていたのは新任の中隊長、ストランスキー大尉。将校嫌いのスタイナーは、名家出身でプライドの高いストランスキーとソリが合わなかった。
ある日、中隊はソ連の大軍の襲撃を受け、さしものスタイナーも敵の攻撃にたおれた。気が付くと彼は病院に収容されていた。重傷を負ったスタイナーに対して鉄十字章が贈られるが、彼は勲章などに興味はなかった。
スタイナーは治療もそこそこに退院すると、すぐに中隊に戻った。名誉欲の強いストランスキーは鉄十字章に執着していて、自分が勲章を受けるのに有利な証言をしてくれるよう、スタイナーに頼んだ。スタイナーはそれを断った。
反れとき別に副官は、ストランスキーの不正を告発するよう、スタイナーに証言を求めた。だが、裏切りも嫌いなスタイナーはそれも断った。スタイナーは上官、副官の二人からにらまれることに……。
<<スタッフ>>