就職活動という人生の分岐点で成長していく若者たちの姿を描く青春群像劇。
就職戦線異状なし
1991
日本
103分
カラー
<<解説>>
杉元伶一の同名小説の映画化したコミカルで時にほろ苦い青春ドラマ。バブル期の大学生の就職活動を題材にしているが、皮肉にも公開時はバブル崩壊直後だった。実体経済への影響で出るのはもう少し先で、就職氷河期が訪れるのも数年後のことだが、過剰な売り手市場で、企業が内定者を逃がすまいと過剰な接待を行うという内容は過去のものとなっていた。
引く手数多とより取り見取りの就職活動に、浮足立って飛び込んでいった大学四年生たち。洋服やアクセサリーを選ぶかのように、ブランドだけでカジュアルに企業を選び、仲間と内定の獲得を競い合うちに本来の目的を見失っていく。内定が出て笑う者、夢に挫折して泣く者。学生たちの悲喜こもごもは、売り手だろうが、氷河期だろうが変わらない。
主演の織田裕二をはじめ、的場浩司、坂上忍、和久井映見といった若手の人気俳優でキャストが固められている。ガッツがあり楽天的だが頭はあまりよくなさそうな主人公によくハマる織田、「なりたいものじゃなく、なれるものを探したら大人なんだ」と絶叫する的場など、フレッシュな芝居が見もの。
<<ストーリー>>
売手市場の就職戦線。就職活動のイロハもノウハウも分からず飛び出していった早大四年の大原健夫の周りには、難関のマスコミ業界に標的を絞る立川修、作家志望のガルーフレンド・甲斐毬子、早々に親のコネで大手代理店に内々定を決めた北町雅則という仲間がいた。
ある夜、大原は北町の内定した企業の接待に誘われたナイトクラブへ。そこで、大原は、OLにフラれた腹いせに絡んできた男を殴り倒した。だが、それは偶然にも、大原が志望していたFテレビの人事部長・雨宮だった。不安になる大原だったが、雨宮が大原のことに存在に気付いている様子はなかった。
大原が順調にFテレビの選考に残っていった頃、立川と北町に思いがけない転機が訪れていた……。