上司の収賄の事実を知ってしまった平凡なサラリーマン。
会社という組織の一員として重大な決断を迫られる。
シリーズ第3作。
新 サラリーマン専科
1997
日本
107分
カラー
<<解説>>
東海林さだおの漫画を原案に山田洋二が脚色したサラリーマン喜劇の三作目にして最終作。監督は前二作の朝原雄三。キャストは主演の三宅裕司以外は一新。主人公の妻役が岸本加世子に交替して、役名も変更された。前作から心機一転し、ストーリー的な繋がりはないようだ。妻の父親役に、サラリーマン喜劇「社長シリーズ」で一時代を築いた森繁久彌が出演したことが話題となった。
今回、主人公のサラリーマン・石橋は、上司が得意先から賄賂を受けていたことを知ってしまい、どうしたらいいか大いに悩む。サイドストーリーしては、家に転がり込んできた義父が騒動を巻き起こす。企業倫理の問題と高齢者問題という昨今の社会的な二つの問題を扱うのだが、風刺するのではなく、ストレートに向き合っている。
本シリーズは、日常のささやかな笑いを描くであって、爆笑を誘うようなタイプではない。しかし、本作は特にシリアスな内容で、笑いも少なめのように感じられる。それは、作る側にしても観る側にしても、深刻な問題を笑い飛ばせない日本人の生真面目さのあらわれなのかもしれない。
<<ストーリー>>
とある企業の総務に籍を置く平凡なサラリーマン・石橋万作。彼が課長に昇進した頃、石橋の家に、妻の父・庄助がふらっとやってきた。石橋は、家に居着いてしまった庄助のわがままに手を焼き、彼を老人ホームに入れるかどうかで悩むのだった。
ある日、石橋は、得意先の仲丸屋との接待の帰りに、百万もの商品券を受け取ってしまった。生真面目な石橋は、商品券を仲丸屋へ返しに行くが、実は、それが上司の冬木部長に渡されるはずのものだったことを知った。つまり、部長は仲丸屋から賄賂を受けていたのだ。
一方、庄助は石橋家を出たきり、行方不明になっていた……。