仏領インドシナを舞台に、同じ男を愛したフランス人の母とインドシナ人の養女の
悲劇的な運命を描く壮大なメロドラマ。

インドシナ

INDOCHINE

1992  フランス

159分  カラー



<<解説>>

カトリーヌ・ドヌーヴ主演作。舞台は1930年代のインドシナ。現在のカンボジア、ラオス、ベトナムにあたる地域である。祖国を知らずに現地に踏まれ育ったフランス人女性(ドヌーヴ)とインドシナ人の養女が、同じフランス人将校を愛したことをために、独立運動の激動に巻き込まれていく様を描いていく。監督のレジス・ヴァルニエはほとんど無名であったが、本作はアメリカで高い評価を受けた。
母が主人公の序盤は、よくある甘いラブロマンスだが、娘に主人公が移ると緊張感のあるものに一変。激しいドラマに、娘の愛の激しさが表されている。母親は、よりにもよって同じ男を好きになってしまった娘を許すどころか、その愛の強さに感服。母娘の間には人種、支配者と被支配者、政治的な主義などの様々な溝があるが、それを乗り越えて娘を抱きとめる母が感動的。母娘の姿は当時のフランスとインドシナの関係を映すようである。フランスが征服者の立場から、独立を勝ち得たインドシナに対し、メロドラマという形で敬意をあらわした作品と言えるだろう。



<<ストーリー>>

1930年代の仏領インドシナ。この地で生まれ育ったゴム園の女主人エリアーヌは、青年将校ジャン=パティストに恋をした。だが、エリアーヌの父親は、二人の仲に反対し、ジャン=パティストに手切れ金を渡して、娘と別れさせてしまった。
エリアーヌには、カミーユという名のインドシナ人の養女があったが、その頃盛んであった共産党による独立運動の争乱に巻き込まれてしまった。ジャン=パティストに助けられたカミーユは、彼に恋をしてしまい、そのこと母に打ち明けた。
エリアーヌは、ジャン=パティストに、娘を受け入れるよう頼んだ。怒ったジャン=パティストは、公の場で大騒ぎし、エリアーヌに手を上げた。このことが原因で、ジャン=パティストは、インドシナ人の奴隷港であるドラゴン島に左遷されられてしまった。
別の男と婚約したカミーユだったが、ジャン=パティストへの愛を貫き、奴隷に紛れてドラゴン島へ向かった……。