平凡なサラリーマンが、自由人の弟のおかげで社長と懇意になるが。
東海林さだおの漫画を原作としたサラリーマン喜劇の第1作。
サラリーマン専科
1995
日本
93分
カラー
<<解説>>
東海林さだおの漫画の映画化。監督は、後に「釣りバカ日誌」シリーズの後期を手掛けることになる朝原雄三。脚本は、山田洋二らとの共同。主演は三宅裕司。いっちょまえの野心はあるがどこか憎めない主人公に扮する。
平凡社員と社長の邂逅というと、同じ松竹のサラリーマン喜劇「釣りバカ日誌」であるが、あの主人公とは違い、本作の主人公は現実的。とりわけて仕事ができるわけでもないサラリーマンが、出世のために期待するものとは、やはりこういうことなのだろう。仕事で成果を上げるより、ご機嫌うかがいに躍起になるのは、業績と直結しないだけに企業として本質的な意味はない。されど、社内という社会の中では、それこそが本質。自由人の弟のような立場から見れば滑稽であるし、社会人にとっては身につまされるだろうが、サラリーマンはサラリーマンの仁義に従って胸を張って生きるのである。「男はつらいよ」や「釣りバカ日誌」と逆のシチュエーションで見せているが、そのアイロニーは共通している。
続編が二作作られたが、「釣りバカ日誌」との差別化のため、次第に社会問題を反映させた暗めの内容に。
<<ストーリー>>
庶務課に課長として籍を置く平凡なサラリーマンの石橋は、やっとこさマイホームを建てるが、そこに居候している弟・淳司のことが気に入らない。定職につかず、ときどきチェロを演奏して小遣いを稼いでいる淳司の自由奔放ぶりが、堅実な会社勤めしている石橋には我慢がならないのだ。それに加えて、淳司の夢見がちでのんびりした性格にも呆れていた。
ところがある日、淳司が迷子になっている犬を助けたところ、それが石橋の務める会社の社長であったため、それをきっかけに社長と懇意になることに。偶然とは言え、石橋は淳司のことをはじめて見直すのだが……。