ニューヨークを舞台に、街で出会った見知らぬ男と官能の世界に溺れる女の姿を描くドラマ。
ナインハーフ
NINE 1/2 WEEKS
1986
アメリカ
117分
カラー
<<解説>>
エリザベス・マクニールの小説「飼われた猫のように―ある愛の記憶」をキム・ベイシンガー、ミッキー・ローク主演で映像化した。ニューヨークで出会った男女の目くるめく性愛を描いた本作は、SMチックなセックス・シーンが話題となり、ヒットした。タイトルは二人が共に過ごした九週間半のことであるが、フィリーニのパロディであるのかもしれない。
色情狂の男による女性の軟禁という三面記事的な事件を掘り下げ、昼と夜とで異なる顔を持つ都会人の孤独や哀しさ描く。そして、そこから生じる社会のひずみへの警鐘も読み取れる。行き過ぎた品行方正という社会からの要請に対し、悪癖を持つことでかろうじて精神の均衡を保つ現代人の危うさというテーマは、幼稚な趣味に執心する大人があふれる現代にこそ通じるもだろう。
<<ストーリー>>
ニューヨークの画廊で働くエリザベスは、離婚暦が一回で目下、恋人なし。ある日、街で出会った男ジョンと親しくなり、成り行きで彼の家に誘われた。積極的過ぎるジョンに戸惑っていたエリザベスだったが、一度関係を許してからは虜になっていった。
ジョンとのセックスは、エリザベスが今まで体験したことのないような官能的なものだった。目隠しさせられたり、氷で愛撫されたりなど、エリザベスはジョンの求めるままに応じていった。そして、まだ、ジョンの名前以外の経歴や職業も知らないまま、彼と部屋に入りびたるようになった。
エリザベスがとりかかっている仕事は、世を捨てたように田舎で暮らしている老画家の古典の準備である。エリザベスは、ジョンと対照的に老画家を見るにつけ、ジョンの素性を知りたくなった。そして、ある日の昼間にジョンの後を尾けていくと……。