日本企業に買収されたオムニ社が再開発のため市民の立ち退きを暴力的に強行。
ロボコップは街を守ろうとする住民と力を合わせてオムニ社に立ち向かう。
ロボコップ3
ROBOCOP 3
1993
アメリカ
104分
カラー
<<解説>>
ロボットの警官が活躍する近未来SFアクションの第3弾。リメイク版が2014年に公開されたため、旧シリーズの最終作となった。前二作で主演は務めたピーター・ウェラーはスケジュールの都合でロバート・ジョン・バークに交替。脚本は前作に引き続き、アメコミの原作者で知られるフランク・ミラー。
ロボコップが、都市再開発の立ち退きで家と両親を奪われた少女に守るため、雇い主であるオムニ社に反抗する物語。ロボコップの性能をはるかに上回る忍者アンドロイドとの対決や、三作目にしてロボコップが空を飛べるようになったことが話題に。ロボコップが、記憶の中にある自分の子供と重た少女と心を通わせる場面も見どころ。いくつかの要素が二年前の大ヒット作『ターミネーター2』とかぶっているが、ターミネーターと違いロボコップは半分は人間であることから、特異なドラマが展開される。
陰謀や駆け引きが入り乱れて話がややこしかった前作に比べると、本作は街の乗っ取りを企む企業とレジスタンス化した市民という対立構図が明確で分かりやすい。また、一作目から持ちこされてきた宿命の対決という意味で最終作としてふさわしく、大団円も感動的である。その一方、アクションは低調か。忍者アンドロイドの流れるような動きは素晴らしいが、ぎくしゃくとした動きが特徴のロボコップとまるで噛み合っておらず、バトルも消化不良気味である。
本シリーズのSFドラマとしての魅力である「自分はマーフィであるのか、ロボコップであるのか」という主人公の実存的苦悩が、本作では変化を見せる。シリーズを通して「記憶」が重要な要素になっているが、過酷な境遇の少女とふれあいを通し、本質的な自己を求めるより「記憶」にあるがままの自己を受け入れようとする。そして、その決意の表れとして、彼は心の命じるままに行動していく。ラストシーンで社長に言い放った台詞(これは一作目のラストと対応)から察せられるように、マーフィとしての自己と同時にロボコップとしての自己も受け入れることができ、彼の自分探しのドラマに一応の決着がつけられたようである。随所に見られる感傷的な演出は「ロボコップ」シリーズらしくないが、マーフィの成長に合わせているのだとすれば納得できる。
<<ストーリー>>
デトロイト市の大企業オムニ社は、日本企業カネミツ・コーポレーションに買収され、市は事実上、カネミツの支配下となった。増え続ける犯罪に関心を寄せていたカネミツは、犯罪取り締まりのために、ジャングル戦で鍛えられたという特殊部隊、REHAB(都市再建警備)隊を投入。だが、その本当の目的は、前社長の夢であったデルタ・シティ建設のため、住民の立ち退かせることにあった。マクダゲット隊長率いるREHAB隊の強制執行は、住民を銃で脅して移転先へ向かうバスに無理やり押し込むという乱暴なもので、市民から避難の声が上がっていた。
ある夜、メカ好きの少女ニコの暮らすキャデラック・ハイツにもREHAB隊がやってきた。突然、クレーンで家を破壊され、家の外へ避難したニコと両親は、待ち受けていたREHAB隊に捕まった。その時、立ち退きへのレジスタンスとして、テロ活動を繰り広げているホームレスのバーサが、クレーンを爆破。パニックになる中、ニコはREHAB隊にバスに乗せられた両親とはぐれてしまった。その場にひとり取り残されたニコは、バーサに拾われ、彼女の仲間たちと一緒に教会へ潜伏することになった。
ニコはバーサとその仲間に連れられて、警察の武器庫に武器を盗みに行くが、警報が作動して、複数のパトカーに追われることになった。バーサの仲間が信号機をハッキングするなどして、ほんどのパトカーをまくいたが、何時までも執拗に追いかけてくるパトカーが一台あった。そのただならない様子から、ニコは追ってくるっているのが憧れのロボコップであることにすぐに気付いた。
メトロ・ウエスト分署の警官、ロボコップことマーフィは、バーサを追っている最中に、相棒の警官アン・ルイスから応援を要請する無線を受けた。緊急性を察知したマーフィは、追跡を続けよというリード署長の命令を無視して、ルイスのもとへ駆けつけた。そして、ギャングに囲まれていたルイスを助けたのだった。パトカーで署へ戻る途中、マーフィは教会から出てきたニコと鉢合わせた。ニコを見て、記憶の中にある自分の子供を思い出したマーフィは、ニコと教会の映像を保存したのだった。
オムニ社はデルタ・シティ建設費用のために借金が膨らんでいて、残り四日の期限内に立ち退きが完了しなければ、ローンが解約されるという瀬戸際にあった。立ち退きが思うほど進んでいないことに、怒り心頭のカネミツ社長は、ロボット忍者のオートモを現地に派遣することを決定した。一方、オムニ社の社長は、どうにかしてロボコップをREHAB隊に入れるよう部下のフレックに命令した。
早速、メトロ・ウエスト分署を尋ねたフレックは、昨晩、ロボコップが上司の命令に背いたことについて、ラザラス博士を問い質した。ラザラスは、ロボコップの中に残るマーフィの細胞が、友達を救いたいという人間らしい判断を下したのだと分析。フレックは、業務に不必要な人間の記憶をロボコップから消すようラザラスに命じた。
ギャングとの戦いで負ったダメージの修理を終えたマーフィは、レジスタンスのアジトの捜索の任務に参加。ニコのことを思いだしたマーフィは容疑者リストを照会すると、ルイスの問いかけにも何も応えずに出かけて行った。同僚の警官からマーフィが改造されたと聞かされ、心配になったルイスはマーフィについていくことに。パトカーの中でルイスは、マーフィから「家族はいるか?」と意味深な質問を投げかけられた。
マーフィがやってきたのは、ニコを見かけた教会だった。マーフィとルイスが教会内に潜んでいたニコやバーサたちを発見したその時、マクダゲットとREHAB隊が教会の前に現れ、住民を引き渡すように命じてきた。市民の安全確保と、オムニ社には反抗禁止という二つの指令の板挟みにあったマーフィだったが、身を挺してニコたちを守ることを決心。ルイスはマーフィの決断に力を得るが、REHAB隊が容赦なく放った銃弾を浴びて倒れた。教会の中に運びこまれたルイスは、マーフィに敵を討ってくれることを約束させた。マーフィは事切れたルイスに「君は殉職した」と告げた。
パーサたち教会の下に掘ったトンネルで地下へ逃げた。ニコはマーフィを一緒に連れて行くことを提案し、マーフィが自分たちを守ってくれたのを見ていたバーサも承諾した。マクダゲットは警察に、ルイスを撃ったのはマーフィだったと証言。ラザラスは、自宅のテレビで、ロボコップが同僚を射殺してレジスタンスと一緒に逃げたというニュース見て、唖然とした……。