ゴジラと謎のUFOの死闘を描くシリーズ通算23作目。
ミレニアム・シリーズ第1作。

ゴジラ2000
ミレニアム

1999  日本

107分  カラー



<<解説>>

シリーズ最終作と銘打たれた『ゴジラVSデストロイア』から四年振りに復活した第23作。新シリーズ「ミレニアム」の幕開けとなり、計六作が製作された。ただし、続き物である四作目と五作目(機龍二部作)以外にストーリーのつながりはない。ゴジラ・シーンの撮影には主に伝統のスーツ・アクトとミニチュアが採用されているが、時代の流れに合わせてCGも多用。本作の時点ではまだ習作であるが、新シリーズではバトル・シーンでの積極的にCGが使われていく。
前作との間にハリウッド版が製作されており、そこで描かれたゴジラへの日本のファンの違和感に対する回答が、本作製作の動機のひとつだと言われている。ゴジラのデザインは一新されたが、ハリウッド版を否定して親しみやすさを取り戻すような保守的な改定ではなく、ハリウッド版における爬虫類的で鋭敏なデザインを活かしつつ、背びれを大きく強調して、怪獣的な凶悪さを表現したものになっている。しかし、一方で、敵対する宇宙怪獣のデザインは、まさにハリウッド版ゴジラは意識したものだったり、異星人による侵略ストーリーやショットがハリウッド版の監督エメリッヒの代表作『インディペンデンス・デイ』を彷彿させたりと、オマージュなのかあてつけなのか判断しかねる要素もある。
ゴジラのデザインだけでなく、ストーリーも昭和、平成シリーズとは異なる新たな世界観で描かれた。ただ、人物や設定は次回作には引き継がれない本作独自のものである。ゴジラの研究を平和的に役立てようとする一派と、ゴジラを排除すべき敵とみなす一派との対立という構図は、怪獣映画の定番。しかし、何度でも蘇るゴジラの謎に科学的に迫ったり、異星人襲来の壮大な目的とその驚くべき手段を描くなどのテクニカルな展開は、これまでの作品よりSF色が強い。現代科学の花形であるバイオやサイバーを怪獣映画に大胆にとりいれる試みには、脚本に粗が否めないものの、まったく新しいゴジラ映画を作ろうという挑戦への意欲が感じられる。



<<ストーリー>>

北海道根室。小学生の娘イオと一緒にGPN(ゴジラ予知ネット)を運営する篠田は、雑誌「オーパーツ」記者の由紀の依頼でゴジラを追跡し、ゴジラの巨体を間近に捉えた。その頃、鹿島灘沖の日本海溝では、6千万年前のものと推定される謎の巨大な岩塊が発見されていた。
CCI(危機管理情報局)の局長で官房副長官を兼任する片桐は、岩塊を引上げ、分析を開始した。科学者の宮坂は、岩塊が地球外からやってきたUFOで、自らの意思を持つ生命体であると推定。それは、クリーンエネルギーの発見の鍵になると期待された。
一方、ゴジラは南へ移動し、東海村の原発に現れた。現場に駆けつけた篠田は、自分と深い因縁のある片桐と出くわした。ゴジラに生命の謎を解くヒントがあると考える篠田は、かつて、学友の宮坂と共にCCIに誘われたが、ゴジラを殺すことを目的とする片桐と意見が合わず、科学者を辞めていたのだった。
ゴジラはさらに南下し、茨城県鹿嶋市の北浦に上陸。CCIが対ゴジラの新兵器フルメタル・ミサイルでゴジラの撃退しようとしたその時だった。UFOが北浦に飛来し、ビーム砲でゴジラへ攻撃を開始した。ゴジラは放射熱線で応戦するも、相討ちとなって、沖に吹き飛ばされた。UFOも墜落し、瀬に突き刺さったのだった。
壮絶な戦闘の現場からゴジラの表皮を持ち帰った篠田は、GPNの収拾したゴジラに関する全データと引き換えに、宮坂に表皮の分析の協力を求めた。その結果、ゴジラの高い生命力を裏付ける、細胞の復元と個体形を合わせ持つ形成体が発見された。物質は、篠田により“オルガナイザーG1”と名づけられた。
篠田とイオが、偽のゴジラのデータを宮坂に掴ませて逃げようとした時、北浦のUFOが再び飛び立ったという情報が入った。新宿に飛来したUFOは、高層ビル“シティー・タワー”の頂点に着底。果たして、UFOの目的とは……。