四国から奄美に舞台を移し、移動映画館の珍道中と恋を描く。
『虹をつかむ男』の続編。

虹をつかむ男
南国奮斗篇

1997  日本

112分  カラー



<<解説>>

「男はつらいよ」幻の第49作の代替として登場し、映画愛を謳いあげた『虹をつかむ男』(無印)の第二弾にして最終作。主演は前作に引き続き、西田敏行と吉岡秀隆。ヒロインには小泉今日子と松坂慶子が登場。撮影は奄美群島にて。
続編。というよりも仕切り直しといった趣きで、追悼トーンだった前作から一変、ずいぶんとあっけらかんとしている。名画の引用で映画好きにアピールするのではなく、代わりに分かりやすいギャグ演出を多用し、万人受けする人情喜劇に変化を遂げた。
本作では、移動映画館に設定を変更することで外の世界に飛び出し、「男はつらいよ」を踏襲するように旅を描く。夢に生きる中年映画館主の姿をアルバイトの若者を通して見せるところは、「男はつらいよ」の終盤の再現のようである。夢がある故に現実から逃げる口実を得ている中年と、夢がない故に自らに猶予を与え続ける若者。似ていないようで似ている二人の関係性も、テーマも似通っているが、物語の展開はとても笑えないほど現実的で厳しいものになっている。



<<ストーリー>>

亮が四国の小さな映画館・オデオン座の館主・活男に世話になった日々から一年後。亮は東京に帰り就職を果たしたものの、結局うまくいかずに辞めてしまった。亮は活男に会いたくなり四国へ行くが、活男の姿はなくオデオン座もなくなっていた。活男は移動映画館をやるため、南の島に渡ったという。
活男を追って南の島にやってきた亮は、現地で再会を果たし、再び映画館の手伝いをすることになった。活男は上映会で、以前、活男のもとで働いていた松江と再会した。活男は松江に思いを寄せていたが、今や彼女は結婚して子供もいるという。一方の亮は、訳ありの子連れの女性・節子と出会い、一目惚れをした。
節子は東京で暮らしているが、旦那に逃げられて十数年振りの里帰りをするところであった……。