函館を舞台に、元刑事の流しが腹黒い実業家やライバルの殺し屋と戦うアクション。
小林旭主演の日活西部劇シリーズの第一作。
ギターを持った渡り鳥
1959
日本
77分
カラー
<<解説>>
ペギー葉山のヒット曲を基にした映画『南国土佐を後にして』が好評だったことを受け、同じ監督と主演で製作された作品。“渡り鳥”役に小林旭、ヒロイン役に浅丘ルリ子(毎回役が異なる)、そして、お決まりのプロットという体でシリーズ化されて、計八作プラス番外編一作が製作された。同時期にスタートした「銀座旋風児」シリーズと共に、小林旭を代表する作品である。
主人公の出で立ち、台詞、ストーリーのいずれも西部劇を意識しているところが新鮮。文字に起こせば面映ゆい稚拙な台詞も、不良っぽいヒーローが堂々と言い切ると、これがなかなか男っぽくて恰好良い。和製西部劇と言う珍奇さに目を引かれるが、精神的には日活青春映画の路線であり、ヒーローものとしてはまだ乗り切れていないところがある。この後、シリーズを重ねる毎に荒唐無稽なヒーロー・アクションとして花開いていく。
<<ストーリー>>
函館の町にギターを携えた流れ者の男・滝が現れた。彼はふらっと寄ったバーで、流しにからんでいた酔っ払いを退治した。滝の活躍を見ていたバーのママ・リエは、店のオーナー・秋津を紹介。秋津に見込まれた滝は、バーの歌手兼用心棒として雇われることに。
滝は、秋津が計画しているアミューズメント施設のため、地上げの仕事を任された。地上げの相手の船会社を営む庄司の妻は、秋津の実の妹・澄子だった。秋津は、澄子が自分のすすめた縁談を断って、庄司のもとへ逃げたことを根に持っていて、借金の担保と称して、庄司から大事な船を取り上げるのだった。
秋津に雇われる殺し屋ジョージは、ある日、船上で滝と出会った。滝がかつて仲間を殺した刑事だと気付いたジョージは、決闘を挑むが、そこに海上保安官が現れた。ジョージは滝に匿われることで難を逃れ、復讐どころか貸しを作るかっこうとなった……。