愛する心でしか解けない魔法で野獣と化した王子と美女のラブストーリー。
美女と野獣
BEAUTY AND THE BEAST
1991
アメリカ
84分
カラー
<<解説>>
ディズニーの長編アニメの30作目。ギリシャ神話の「アモール(エロス)とプシュケー」をもとに、フランスのボーモン夫人が書いた「美女と野獣」の物語のアニメ映画化。ディズニーがアニメ化を企画したのは、実はかなり昔のことであったそうだが、その時は良いストーリーが出来上がらなかったため、頓挫。企画が再始動したのは1987年のことで、3年半の長きをかけて完成したのが、本作である。
当時の最先端のCGを一部のシーンで使用したことが売り物で、野獣とヒロインのダンスシーンの大胆なカメラワークは画期的であった。傲慢な男が愛情を通じて会心していく物語は、態度と裏腹に内面はナイーブという男心を捉えた現代的なロマンスに仕上がってい。先のダンスシーンの印象のせいもあるが、テーマ的にはボーモン夫人版というより、『王様と私』に近いようである。
<<ストーリー>>
昔々、森の中のお城に、美しかったがわがままで傲慢な王子が住んでいた。ある日、お城に宿を求めてやって来た醜い老女を追い返そうとした王子は、魔女に変身した老女に魔法をかけられ、醜い野獣と化してしまった。魔法が残していったバラの花びらがすべて落ちる前に、女性を愛し、そのお返しに愛されなければ、王子は永遠に野獣のままだいう。
王子がその醜い姿を気に病み、お城に閉じこもってから十年がたった。森の外の町に住むベルは、本が大好きな美しい女の子。町のみんなは、夢見がちなベルを風変わりだと言っていた。そんなベルに恋するのは、町いちばんのハンサム、ガストン。だが、彼は自惚れ屋で乱暴であり、ベルの好みではなかった。
ベルの父親で発明家の父モーリスは、完成さた自動薪割り機を売り込みむため、旅に出発した。ところが、モーリスは森の中で迷ってしまい、不気味なお城にたどり着いた。おそるおそるお城の中に入ったモーリスは、不思議なしゃべる家具調度品にもてなされ、お城に泊めてもらえることになった。が、その時、お城の主人の野獣が姿を現した。野獣は、不法浸入と決め付けて、モーリスを捕らえてしまった。
そのころ、ベルは家にやってきたガストンから、強引なプロポーズを受けていた。ベルがガストンを家から追い出したとき、モーリスの乗っていった馬のビリーだけが戻ってきた。ビリーに乗ってモーリスを捜しに森に入ったベルは、お城の中で牢屋に入れられていたモーリスを見つけた。その時、ベルの前に野獣が現れた。
ベルは、モーリスの身代わりにお城に留まることを野獣に申し出た。野獣は、永久にお城にいることを条件に、モーリスを釈放した。町に戻ったモーリスは、町の人々に野獣のことを訴えた。ところが、人々はモーリスの頭がおかしくなったと言い、誰も彼の相手をしようとしなかった。
女の子がやってきたということは、野獣にとっては魔法を解くチャンスだった。ところが、野獣はベルに対して、すぐにカッとなりったり、下品な態度を取ってしまい、優しく接することができなかった。ベルはそんな野獣を嫌い、招待されたディナーも拒否してしまうのだった。
家具調度品たちにこっそり食事をもらい、空腹を満たしたベルは、お城の中を散歩することに。彼女は、野獣から入ってはいけないと言いつけられていた西のはずれの部屋を興味本位で覗いてしまった。部屋の中には、ガラスケースに入ったバラの花があった。花はしおれていて、最後に残った一枚の花びらが今にも落ちてしまいそうだった。
ベルが花に触れようとした時、部屋の奥にいた野獣がものすごい勢いでやってきて、ベルを叱り飛ばした。野獣の態度に我慢できなくなったベルは、約束を破ってお城を出て行った。外は吹雪であり、ベルは森の中でオオカミの群に襲われてしまった。絶体絶命のその時、野獣が現れてオオカミを蹴散らした……。