社員旅行に参加したハマちゃんが、大企業の御曹司と派遣社員の恋を見守る。
釣りバカ日誌19
ようこそ!鈴木建設御一行様
釣りバカ日誌19
2008
日本
110分
カラー
<<解説>>
シリーズ通算21作目。大分を舞台に、相変わらず釣り三昧のハマちゃんが、若いカップルのキューピッドになるという物語。生真面目な御曹司に山本太郎。その恋の相手で、利発で気の利く派遣社員に常盤貴子。二人共、役柄にあった初々しい芝居が光る。スーさん役の三國連太郎の息子・佐藤浩市がある役で出演したことが話題に。
今回は、社内格差や格差婚といった現在も進行中の社会問題がテーマ。行き過ぎたカードセキュリティや社員の健康問題など小ネタが散りばめられいる。サラリーマン喜劇として時代の空気を批判的に捉えるという使命は果たしていると思われるが、「釣りバカ」ファン的には、スーさんがストーリーにさっぱり絡んで来ないし、ギャグもハマちゃんの一人相撲的になっているという点に不満が残りそうな内容である。
また、マンネリ打開のパターン崩しということかしれないが、本作は構成がいつもとちょっと変わっている。乱暴だが、物語を3分割すると、胃カメラ騒動、社員旅行、スピーチ騒動となっている。真ん中の社員旅行の部分がメインのはずだが、四十分弱といったところで、あまり時間が割かれていない。カップルそれぞれの心の機微は捉えているものの、時間の都合で恋の進展に波乱がなく、意外なほどとんとん拍子に進む。その分、エピローグにあたるスピーチ騒動が、喜劇への回帰を図るかのように、丁寧に伏線をはりつつたっぷり描かれている。
<<ストーリー>>
鈴木建設の会長になっても、相変わらず忙しい日々を送る鈴木一之助。年が年だけに、食後に飲まなければならない薬の分量が増えてきていた。一方の元気だけが取り柄の浜崎伝助だったが、ある日、営業三課に厚生課の河井波子が訪ねてきて、胃の再検査を受けるよう指示された。胃カメラを飲むことを嫌い再検査を拒否する浜崎。彼の説得に率先して手を挙げたのは、営業三課の新人・高田大輔だった。
大輔は大企業・高田製薬の御曹司だったが、周囲の色眼鏡で“セレブ”と指差されることを嫌い、中途採用で鈴木建設に飛び込んだのだった。そして、大輔は入社時の手続きで厚生課を訪れた時に出会った波子に、思いを寄せていた。
大輔の説得により、妻・みち子の付き添いで再検査に挑んだ浜崎は、波子にも見守られながら、大騒ぎの末にどうにか胃カメラを飲んだ。検査の結果、胃に穴が発見されたが、大したことはなく、暴飲暴食を控える食餌療法で済むということだった。
数日後、営業三課は社員旅行で大分へ出発した。福利厚生課の主催で、幹事は大分が故郷の波子。三課が彼女のプランを選んだのは偶然ではなく、彼女と親しくなるチャンスを狙う大輔の密かな計画だった。現地に着くと、さっそく浜崎は家が漁師である波子に釣り船の手配を頼んだ。こうして、浜崎は釣りを通じて波子の兄・康平と親しくなっていった。
釣りに宴会にと社員旅行を大いに満喫する浜崎。その頃、大輔は真面目な性格が幸いして、宴席になじめず一人浮いしまっていた。宴会場を抜けてコーヒーを飲もうとしていた大輔に、波子が付き合ってくれた。波子は父の死後、厳格な兄と喧嘩別れして東京に出てきたことや、自分が派遣社員であり、契約が切れた後に東京に残るか大分に戻るか迷っていることを打ち明けた……。