世界中で愛されるモンゴメリの名作を映像化。
孤児のアンが島の老兄妹と引きとられてから教師の職に就くまでを描く。

赤毛のアン

ANNE OF GREEN GABLES

1985  カナダ/西ドイツ/アメリカ

144分  カラー



<<解説>>

モンゴメリの児童文学の一作目を映像化した作品。本国ではテレビのミニシリーズ用に作られたが、日本で89年にダイジェスト版として劇場公開されたものが本作。後(94年)には、三時間を超える『完全版』が公開されている。原作の続編に基づく『アン青春』、その後日談を描いたオリジナル『アンの結婚』、1、2作目の監督が新解釈で描いた『新たな始まり』とシリーズ化された。
男の子と間違えて、農場主の家に引き取られることになった赤毛の孤児のアンの少女自体の物語。やさしい養父、親友、ボーイフレンドらとの関係を通して、過酷な境遇をたくましく生きていく様を描く。ダイジェストとは言っても、もともと、多数のエピソートがテンポよく繰り広げられる構成であるため、原作のエッセンスは楽しめる作品に仕上がっているものと思われる。
アンの物語にふれたことのない人(特に男性)にとっては、少女趣味的だとか、教訓的な青春ものだとかいうイメージを持たれて、敬遠されるきらいのある作品なのかもしれない。アンの達者なおしゃべりを聴くだけでも楽しいが、まずは優れたコメディアンヌとしてのアンを見つけ、単純にコメディとして観ていただきたい。空想好きで、芝居がかった大げさなもの言いで周囲を振り回すのが悪い癖。その上、癇癪持ちであるために、自ら騒動を誘い込む体質。そういった性格が災いし、やることなすことがハチャメチャな結果になってしまうというお約束は、笑えること請け合いである。



<<ストーリー>>

カナダのプリンスエドワード島。空想好きでおしゃべりの孤児の少女アンは、マシューとマリラの老兄妹に引き取られることに。憧れていた小説の世界に出てくるような素敵な家に大喜びするアンを見て、戸惑うマシューとマリラ。というのも、彼らが孤児院に求めていたのは、引き取り手となる男の子だったのだから。
手違いとはいえ、マシューとマリラは、アンを孤児院に戻さず、試験的に一緒に暮らすことにした。ところが、自己主張の強いアンは、早速、マリラの友達とけんかをして、マシューたちを困らせるのだった。
アンは、隣の家に住む同い年の少女ダイアナと知り合い、すぐに友達になった。アンは学校に通うことになったが、その初日、アンがいちばん気にしていた赤毛のことをからかってきたギルバートという男の子に大激怒。それからというもの、ギルバートはアンの天敵となった。
新しい暮らしにも慣れてきたある日、アンはダイアナを家に遊びに招くが、誤って二人でワインを飲んでしまい、ダイアナの母のバリー夫人に大目玉を食らった。アンはバーリー夫人によって、ダイアナと付き合うことを禁じられてしまった。
ある夜、ダイアナが留守番をしている間に、彼女の妹が熱を出した。アンはダイアナと一緒に、必死に妹の看病をし、その甲斐あって、妹の命は救われた。このことでバリー夫人の誤解を説いたアンは、ダイアナと付き合うことを許され、ダンスパーティにも招かれるのだが……。