エジプトの女王クレオパトラと、彼女恋に落ちた二人の英雄の姿を描く
絢爛豪華なスペクタクル史劇の超大作。

クレオパトラ

CLEOPATRA

1963  イギリス/アメリカ/スイス

248分  カラー



<<解説>>

美女の代名詞で語られるクレオパトラの生涯を、カルロ・マリア・フランツェロの小説をもとに、『イヴの総て』、『ジュリアス・シーザー』のマンキーウィッツ監督が、エリザベス・テーラーを主演に映画化。『スパルタカス』、『ベンハー』と並び称されるハリウッドのスペクタクル史劇の代表作である。
莫大な製作費をつぎ込んだことで有名な作品で、豪華な衣装やセットが見ものである。パレードのシーンは豪華さには目を見張るものがあり、現代でそれを再現することはおそらく不可能であろう。一方、製作費を回収できほどヒットせず、製作会社が傾きかけたことでも有名である。もともとはマンキーウィッツの入魂の作で、五時間二十分という長尺で撮り上げたが、会社側が難色を示し、大幅に編集された三時間十二分短縮版で公開されることに。大事なシーンさえ大胆にカットされたという不本意さに、監督も失敗作であること自認しているという。しかし、現在、ビデオソフトやテレビ放送で観られるのは、プレミア上映された四時間八分の版である。当時、劇場で不評だったものよりは、だいぶましな内容となっていると思われる。
作品の構成としては二部であり、前半はクレオパトラとシーザーの関係、後半はクレオパトラとアントニーとの関係が中心の物語になっている。「もし、クレオパトラの鼻がもう少し低かったら……」とパスカルが言ったように、二人の英雄が彼女を愛したゆえに、エジプトとローマという国が大きく揺れ動いていく様が描かれていく。男女の愛憎をテーマにしているところは、男性的な誇りや友情や権力への執着といったテーマが多いスペクタクル史劇の中では、異彩を放っている。



<<ストーリー>>

紀元前48年、覇権争いの起こっているエジプトに、執行官として赴いたシーザーは、18歳のクレオパトラと出会い、その美貌のとりこになった。二人は世界を統一するという夢で意気投合。シーザーは、クレオパトラを毒殺しようとした兄を処刑すると、王となったクレオパトラと共にローマに凱旋した。
シーザーは、クレオパトラの間に子供をもうけ、皇帝としての地位を確かなものにしていったが、彼の独裁を恐れたブルータスによって暗殺されてしまった。シーザーの死後、皇帝シーザーの座は、シーザーの息子ではなく、おいに引き継がれた。クレオパトラは自分の夢をシーザーの従者アントニーに託すと、エジプトに帰った……。