50年代のレマン湖畔を舞台に、避暑地の村を訪れたプレイボーイと、
村に暮らす奔放な美女とのひと夏の恋を描く。

イヴォンヌの香り

LE PARFUM D'YVONNE

1994  フランス

86分  カラー



<<解説>>

『髪結いの亭主』のパトリス・ルコント監督が、パトリック・モディアノの同名小説を映画化した作品。『髪結いの亭主』と同様に、愛し過ぎれば失われるという愛の困難さをテーマに、イポリット・ジラルド演じるプレイボーイが、避暑地の村で出会ったサンドラ・マジャーニ演じる奔放な美女イヴォイヌに翻弄される様を、しっとりと描く。
主人公のプレイボーイの回想として美化された過去の場面のひとつひとつは、避暑地の風景の瑞々しさとも相まって、まるで夢のような美しさである。その記憶の絵画の中に封じ込められたイヴォイヌの儚い花の若さがことさら強調されていおり、彼女の肌の質感や香りまでも記憶にとどめんするようなエロティックな視線が光っている。
もったいつけて撮ればもっと文学的な作品になりそうな内容であるが、ルコント監督は簡潔、明瞭に本作を撮り、悪く言えば軽い、良く言えばオシャレでライトなラブロマンスに仕上げている。



<<ストーリー>>

ヴィクトールは十二年前の夏の日のことを思い起こしていた――
アルジェリア戦争の最中、ヴィクトールは兵役を逃れるため、スイスのレマン湖のほとりの避暑地の村で過ごしていた。ある日、ヴィクトールはホテルで、イヴォンヌという若く美しい女性と、ゲイの中年医師ルネと出会った。
イヴォンヌは、ロシアの伯爵を自称するヴィクトールに、自分は女優だと告げた。ヴィクトールはイヴォンヌに一目ぼれし、二人は愛し合うようになった。だが、ルネは、イヴォンヌに夢中になるヴィクトールに、彼女から目を離すなと忠告した。
ヴィクトールはイヴォンヌを独占すべく、女優として成功できるとからと言って、一緒にアメリカで暮らすことを提案してみた。だが、イヴォンヌの返事は思わしくなかった……。