放射能で黄金の価格を操ろうとする億万長者ゴールドフィンガーとボンドの対決。
007シリーズの第3作。

007/ゴールドフィンガー

GOLDFINGER

1964  イギリス

110分  カラー



<<解説>>

イアン・フレミングの原作の7作目を映画化した作品。映画版としては3作目になり、監督は前二作を手掛けたテレンス・ヤングからガイ・ハミルトンに交代。ハミルトンは後に第7作『ダイヤモンドは永遠に』から『死ぬのは奴らだ』、『黄金銃を持つ男』と三作連続で登板し、計四作を手掛けることになる。ボンド役は引き続きショーン・コネリー。ボンド・ガールはオナー・ブラックマン。超有名な主題歌はシャーリー・バッシー。
前作『ロシアより愛をこめて』は、冷戦を背景とした本格スパイ映画風であったが、今作は冷戦という枠を離れ、世界経済がらみの事件が扱われる。もはや戦争よりも、経済危機の方が、より警戒すべき問題だった当時の情勢がうかがえる。また、世界経済の破壊行為というのは、全先進国から憎まれる犯罪であるからして、ボンドも活躍も特定の国に奉仕するスパイというよりは、正義の味方としてのそれである。世界から愛されるボンド像の方向性が見えてきたようである。
経済事件で相手が億万長者一人とは言え、核爆弾やら軍隊やらが登場する、なかなか物騒な内容である。激しい戦闘シーンも用意され、スケール感もアップしている。また、派手な装備のついたボンドカーも本作から登場するようになり、作品全体の雰囲気が、現在のシリーズにぐんと近づいてきたようである。しかし、アメリカでの活動は管轄外ということもあってか、作戦の表立った部分はアメリカ軍やCIAに任せて、ボンドの活躍は控えめである。手下の美女をたぶらかしたり、最後にボスを片づける役などのおいしいところは持って行くが。



<<ストーリー>>

黄金の密輸に関する調査でスイスにやってきたボンド。彼は、犯人と睨んだ億万長者ゴールドフィンガーとの接触を試みるが、相手に目的を悟られ、手下のオッドジョブに捕えられてしまった。
ゴールドフィンガーはある計画のため、ボンドを連れてにアメリカに向かった。その計画とは、アメリカにある金塊の貯蔵庫を放射能で汚染させ、黄金の価値を操ることであった。計画を知ったボンドは、見張りの女性プシーに迫り、彼女を味方に付けた……。