スーさんに誘われ高知にお遍路の旅に出たハマちゃん。
ひょなことからバツいちの女トラック運転手と出会う。
シリーズ通算16作目。

釣りバカ日誌14
お遍路大パニック!

釣りバカ日誌14

2003  日本

116分  カラー



<<解説>>

高知を舞台にした「釣りバカ日誌」シリーズの十六作目。監督は、『イレブン』から前作までの三作のメガヘンをとった本木克英に代わり、「サラリーマン専科」シリーズでサラリーマン喜劇の実績のある朝原雄三が登板。以降、最終作『ファイナル』まで監督を務めあげることになる。ゲストに「サラリーマン専科」シリーズの主演だった三宅裕司。ヒロインには高島礼子が登場。
営業三課の新課長に就任した岩田(三宅)が、浜崎が旅先で出会った女トラック運転手のみさき(高島)に一目ぼれする、といったシンプルなストーリー。丹波哲郎という大太刀を振るった前作に比べると、サプライズに乏しく、派手な笑いも少なめだが、サラリーマン喜劇てして順当な仕上り。ヒラと社長の交流という設定は、もう描きつくした感があるが、岩田課長が浜崎の肩の力を抜いた生き方に感化されていく様子を描くことで、今一度、テーマを提示し直している。家庭を持って幸福な浜崎と、そうでない岩田やみさきとの対比もよくされている。コメディとロマンスが分離しがちな「釣りバカ」の中にあって、二つをうまくまとめているところも良い。また、シリーズの初期のようにみち子がかわいらしく描かれていたり、合体シーンやバーでの浜崎と岩田のセッションの漫画的な演出の楽しさなど、本来あるべき「釣りバカ」に回帰といったところか。新シリーズの幕開けとしては好感が持てる作品である。



<<ストーリー>>

鈴木建設営業三課の万年課長の佐々木が、ついに次長に昇進した。佐々木のポストは、海外赴任から帰ってきた岩田。人事担当の原口から、徹底した能力主義が買われたてのことだった。人事の引継の際、特に注意すべき項目して挙げられたのは、ボンクラ社員の浜崎伝助のこと。原口は岩田に、浜崎に会社の歯車としての自覚を叩き込むことを強く命じた。三課に向かった岩田は、就任の挨拶もそこそこに、その日も遅刻して出社してきた浜崎に挑戦的に迫った。
その夜、浜崎は岩田に誘われて、岩田行きつけのバーで飲んだ。岩田は浜崎が釣りの趣味に高じていることに一定の理解を示すと、自分も趣味のギターを機嫌良く披露。が、浜崎の妻の名前がみち子だと知ると、急に落ち込んでしまった。実は、海外赴任の前、岩田はみち子に片思いしていたのだった。バツいちの岩田は、浜崎の幸せをうらやみつつ、独り暮らしの部屋へ帰っていった。
鈴木建設社長、鈴木一之助は、近頃疲れがたまっていることを自覚していて、イライラから会議でつい怒鳴ってしまうこともあった。鈴木はリフレッシュ休暇でお遍路の旅に出ることを思いつくが、家内がタヒチに旅行に出てしまうためお供がいなかった。そこで鈴木は浜崎を誘うことにした。乗り気でなかった浜崎だったが、行き先が鮎や鰹で有名な高知であることを知り、手を挙げた。が、浜崎は有給休暇を使いきっている上に、忌引きに利用できる親戚友人もほとんど殺してしまっていた。鈴木は浜崎を誘うことを諦めて、一人で旅に出た。悔しそうな浜崎を見かねたみち子は、自ら犠牲になることを申し出た。こうして、浜崎はみち子死去に伴う忌引き届けを岩田に提出すると、鈴木を追って高知に飛んだ。
浜崎は鈴木と合流して札所から札所へとお遍路の旅を続けるが、すぐに飽きてしまった。鈴木も浜崎を誘ったことが人選ミスだったと諦め、釣りをする事を許した。仕事をサボって鮎を釣っていたタクシーの運ちゃんと出会った浜崎と鈴木は、釣り場へ案内してもらうことに。その途中、浜崎は、前をゆっくり走っていたトラックを、運ちゃんをけしかけて、追い越させた。すると、そのトラックから女トラック運転手が降りてきて、危険な追い越しを厳しく注意。運ちゃんは、“はちきん”とつぶやいた。この地方では、気の強い女性のことををそう呼ぶのだ……。