ジェームズ・ボンドがアメリカで麻薬王と対決。
ロジャー・ムーアを三代目ボンドに迎えたシリーズ第8作。
007/死ぬのは奴らだ
LIVE AND LET DIE
1973
イギリス
121分
カラー
<<解説>>
“007”シリーズの8作目で、三代目ボンド、ロジャー・ムーアの1作目。監督は前作『ダイヤモンドは永遠に』のガイ・ハミルトンが続投。敵役にヤフェット・コットー。ボンド・ガールにジェーン・シーモア。主題歌はポール・マッカートニー。
舞台はアメリカとカリブに浮かぶ島。ボンドが挑む敵は、黒人の麻薬王。コネリー版で一区切りつけたのか、前作までの好敵手スペクターは本作以降、敵として登場することはなくなった(『ユア・アイズ・オンリー』のアバンタイトルにそれらしき者が現れるが)。世界征服を企んでいたスペクターと比べると、麻薬王は小物で、スケール感が縮小した印象だが、広がりすぎた風呂敷を畳みなおし、現実に引き戻したといったところだろうか。
やや偏見がありそあうだが、黒人ギャングの台頭とそれがもたらす麻薬の蔓延という恐怖は、当時の社会では現実的なものだったようだ。本作はその恐怖への味付けとして占いや呪いやブードゥ教といったオカルト要素を加えている。科学力、経済力、政治力、体力で迫ってきたこれまでの敵とは勝手が違う相手だが、つかみ所がないであろうとボンドは関係無し。いつも通りの飄々とした活躍で切り抜けた上、持ち前の男性的魅力で女占い師を手篭めにしてしまうのだから痛快である。
アクションに関してもスケール感は小さくなっているが、ジャングルをバックにしたアクションは新鮮。ヘビやワニと格闘し、クライマックスはボートでの壮絶なチェィス。一見クールなムーアだが、全盛期のコネリーにも勝るとも劣らないワイルドな魅力を見せつける。新シリーズとして良好なスタートを切ったと言える。
<<ストーリー>>
“007”ことジェームズ・ボンドの同僚の諜報員三人が相次いで殺された。“M”の指令でアメリカに調査に向かったボンド。彼を待ち受けていたのは、首謀者と目される麻薬王カナンダだった。
カナンダは占い師の美女ソリテアを差し向け、その妖しい霊感でボンドにプレッシャーを与えた。数々の危機を切り抜け、カリブの島に敵の本拠地を突き止めたボンドは、カナンダの邸でソリテアと直接対決することに……。