アドリア海の孤島のホテルで女優が殺害された。
名探偵ポアロが鉄壁のアリバイに守られた犯人に挑む。
オールスター・キャストによるクリスティ原作ミステリーの第4弾。

地中海殺人事件

EVIL UNDER THE SUN

1982  イギリス

117分  カラー



<<解説>>

アガサ・クリスティ「白昼の悪魔」の映画化。オールスター・キャストによるクリスティ原作ものとしては、『オリエント急行殺人事件』より数えて4作目である。出演は、ジェーン・バーキン、ジェームズ・メイソン、ロディ・マクドウォール、ダイアナ・リグ、マギー・スミス他。ポアロ役は前々作『ナイル殺人事件』のピーター・ユスティノフ。監督は前作『クリスタル殺人事件』のガイ・ハミルトンが続投。
アドリア海の孤島で白昼に女優が殺されるという事件が発生。居合わせた私立探偵ポアロが操作を始めるが、関係者全員にアリバイがあった――旅情溢れる地に集う俗物たちの死をめぐる饗宴。クリスティのお得意のシチュエーションだが、意外な犯人、意外な結末、といった仕掛けに頼らず、正攻法で挑んだミステリーである。限定された舞台、限定された容疑者、限定された時間の中で、複雑に絡み合う人間関係。パズルのピースを拾い上げていくようなポアロの捜査の過程を、ハミルトンは奇を衒わず丹念に描いていく。ヒントも残らず提示されるフェアな内容なので、観客も謎解きに参加できるという楽しみもあり、ミステリーの醍醐味が堪能できる。とにかく、よく出来た話として感心させる作品である。



<<ストーリー>>

アドレア海の孤島。女主人ダフニの経営するホテルで、宿泊客らが優雅に夏を過ごしていた。そんなある日の正午、人目につかない浜で一人で日光浴をしていた女優のアリーナが死んでいるのが発見された。
保険会社の依頼でアリーナの元婚約者のホレス卿を調べるためにホテルに来ていた探偵のポアロは、早速殺人の線で事件の捜査を開始。犯行時間前の三十分間の宿泊客らのアリバイを調べていった。
死体の第一発見者のパトリックはアリーナの愛人。パトリックと一緒に死体を確認したマイラは、アリーナに映画出演の約束をとりつけようとしていたプロデューサ、オデルの妻だった。
ホレス卿はアリーナから偽のダイヤをつかまされて保険会社からにらまれる羽目になり、動機はあったが、彼が島についたのは死体発見後のことだった。
アリーナの夫ケネスは事件当時は手紙を書いていて、それをダフニが見ていた。ダフニはホテルを経営する前は女優で、アリーナと舞台上で互いしのぎけずったライバルだった。
パトリックの妻クリスチンは、ケネスの娘のリンダと一緒にアリーナが殺されたのとは別の浜に絵を描きに行っていて、その後、正午からはケネスたちとテニスをしていた。
アリーナの伝記を書いていた記者のレックスは、クリスチンと別れた後のリンダと会っていたという。
そして、関係者の最後の一人オデルは誰とも会っていなかったが、ずっと一人で読書をしていたのをダフニに目撃されていた……。