母一人子一人で越して来たシアトルで、
高圧的な継父との確執に苦しみ成長していく少年の姿を描く。
ボーイズ・ライフ
THIS'S BOYS LIFE
1993
アメリカ
115分
カラー
<<解説>>
大学教授でもある作家トバイアス・ウルフの少年時代を綴った自伝的を映画化した作品。気立ては良いが男運の悪い母親と、家庭への劣等感でグレかれている若きトビー・ウルフ少年。母親がつれてきた新しい恋人は、温厚そうに見えて実はとんでもない内弁慶。継父になったその男に、ひたすら苛められ続けながらも、希望の光を見出そうとするトビーの青春を描いていく。
主人公のトビー少年に扮するのは、レオナルド・ディカプリオ。出世作『ギルバート・グレイプ』と同年の公開であり、彼の初主演作となった。まだ幼さの残る童顔で、ちょうど思春期の不安定な時期にある少年を瑞々しく演じている。共演はロバート・デ・ニーロ。相手が新人であろうがお構いなしのマイペースな芝居で、暴力的な継父になりきっている。
家族との確執を扱った物語は和解の方向へ収束していくものが常だが、本作は徹底的に継父を憎たらしい悪者として描いているところが特異である。演じるのが強面のデ・ニーロということも手伝い、継父の歪まれた描かれ方はまるでスリラー映画のよう。ただし、継父に対する一方的な描き方が、思春期のトビー・ウルフ少年のフィルターを通したものであることは重要。継父との対決は、父親越えの通過儀礼の代替であると同時に、母親への愛情を示すもので、いわゆるエディプス・コンプレックス的なものも仄めかせているようである。
<<ストーリー>>
トビー少年の家庭は、母親のキャロラインと二人暮らしの母子家庭。キャロラインが夫と離婚後、恋人の暴力から逃れるように、シアトルに移り住んでいた。
半年後、トビーはキャロラインから町で出会ったドワイトという男を紹介された。キャロラインは、これまでの男とは違い温厚で紳士的なドワイトにすっかりまいっているようだった。
キャロラインはドワイトの家族と積極的に交遊するようになった。一方その頃、トビーは家庭環境のせいでひねくれ、学校での就学態度の悪さが目立つようになっていた。
トビーの態度を改めるべく、彼はドワイトの元へ預けられることになった。すると、横暴な本性を現したドワイトは「根性を叩き直す」などと言って、トビーに新聞配りをさせたたり、ボーイスカウトに強引に入れさせたりした。
まもなくして、キャロラインとドワイトが再婚した。ドワイトはトビーやキャロラインにこれまで以上に威張り散らすようになった……。