スタジアムの大観衆の中に潜んでいたライフル魔が銃を乱射。
応戦するSWATと逃げ惑う観客の姿を描くパニック映画。

パニック・イン・スタジアム

TWO MINUTE WARNING

1976  アメリカ

115分  カラー



<<解説>>

スタジアムという閉鎖的な空間を舞台にしたパニック映画。主演として刑事に扮するのは、『ハイジャック』、『大地震』、『エアポート’75』等、70年代のパニック映画に数多く主演してきたチャールトン・ヘストン。狙撃主には、ジョン・カサヴェテス。スタジアムの支配人には、マーティン・バルサム。オールスターではないが適材適所のキャストである。
アメフトの試合で沸き返るスタジアムに、危険なライフル魔が潜んでいたというのが物語の設定である。急遽召集されたSWATは、試合が展開する中、ライフル魔を追い詰めていく。しかも、大観衆に気づかれないよう、密かに――多くの人が集まる閉鎖された空間で、無差別殺人が発生したらどういうことになるか。そんな想像するに恐ろしい未曾有の状況をシミュレートして見せていく。
当時、乱発されていたパニック映画のほどんどは、パニック・シーンがだらだらと続くだけの退屈なものがほとんどであった。それらには何が足りなかったのだろうか。リアリティ? いや、それよりも、サスペンスなのではないだろうか。本作は、事件が起こっていることをスタジアムの観客に気づかせない、つまり、あえてパニックを抑制していく方向にストーリーを展開させ、サスペンスを盛り上げていく。さらに、SWATの活躍の一方、何も知らずに観戦する観客の表情も捉えることにより、日常に潜む恐怖を演出。中継のために設置されたテレビカメラを用い、臨場感を出したところも良い。クライマックスでは、そこまで抑えられていたパニック・シーンが一気に爆発する。本当に折り重なり、ぶつかり合う人と人。現在ではまず撮影不可能な生々しい混乱は圧巻で、実際に怪我人が多数出たのではないだろうかと心配になるほど。



<<ストーリー>>

休日のロサンゼルス。優勝のかかったアメリカン・フットボールの試合が始まろうとしているスタジアムは、超満員の観客で湧き上がっていた。
恋人と上手くいっていないスティーブ、今度の賭けに負ければ命がないギャンブラーのサンドマン、家族サービスのため妻と子供とやって来たマイク。様々な顔が集まる観客席の中に、今朝殺人を犯したばかりのライフル魔の男の姿もあった。
スタジアムの支配人マッキーバーは、多数設置されたテレビカメラのひとつが、ライフル魔の姿を捉えているのを見た。マッキーバーは直ちにロス市警のホリーと連携し、SWATを待機させた。マイクはライフル魔の存在に気づくが、観客に混乱が広がることを恐れる警察に拘束されてしまった……。