四代目組長に推していた舎弟頭を殺された極妻が若頭への復讐に乗り出す。
シリーズ第9作。
極道の妻たち
危険な賭け
1996
日本
114分
カラー
<<解説>>
「極妻」シリーズの9作目。監督は、5作目『新極道の妻たち』を手がけ、次前作『危険な賭け』も続けて手がけることになる中島貞夫。主演はもちろん岩下志麻。かたせ梨乃は第6作『覚悟しいや』以来二作振りの登場。歌手の工藤静香が岩下の娘役で出演し、主題歌も担当したことが話題となった。
凄惨で跡目争いを描いた物語は緊迫感があるが、舎弟頭が自作映画でキャンペーンを展開するなど気の抜けた一幕も。切った張ったのヤクザの姿だけではなく、こういう日常的な描写にこだわり、他のヤクザ映画と一線を画したところが、極妻の強みであり、良さであった。前作において、監督・降旗とのコンビで映像美を炸裂させていたカメラの木村大作は、ややなりをひそめたように思わせるが、中盤のクライマックスで真価を発揮。岩下が珍しく窮地に追い詰められる場面を、ことさらに美しく撮り、印象的な名場面を残した。
<<ストーリー>>
坂松組三代目組長の死から一年半、舎弟頭の佐渡拓磨と若頭の海原泰明が跡目候補に名乗りをあげた。資金面に問題があった佐渡は、北陸の女帝と呼ばれる洲崎組組長・洲崎香矢に援助をあおった。香矢はそれを快く引き受けた。
時を同じくして、香矢の妹分・静尾の弟・新の出所と、東京の大学へ通っていた香矢の娘・香織の帰郷が重なった。新と香織は香矢の家で出会い、互いを意識しあった。新は香織を口説こうとするが、素直になれず、彼女を侮辱してしまった。
怒った香織は香矢に新の殺害を依頼。だが、手違いで静尾の夫である神鳥組組長・神鳥亮平が刺されてしまった。神鳥が、跡目相続では海原側についていたため、佐渡からの挑戦だと誤解が起こり、内部抗争が一触即発となった……。