やくざの勢力争いに巻き込まれた座頭市の戦いを描く時代劇。
シリーズ第26作。
座頭市
1989
日本
116分
カラー
<<解説>>
勝新太郎の代表的なキャラクターである、盲目の居合い抜きの達人・市の活躍を描いた痛快時代劇。73年の第25作「笠間の血祭り」から十六年ぶりの新作で、26作目にしてシリーズ最終作。第24作「折れた杖」に続き、自ら監督や製作にもあたった意欲作である。真剣を使った殺陣のリハーサル中に死亡事故が起こり、図らずも問題作となった。
主人公・市の格好良さを前面に押し出したヒーロー・アクションに徹し、とにかく強い市が、いろんなところに現れては、悪者をバッタバッタとなぎ倒していくといった内容になっている。市が無敵過ぎて、ややカタルシスに欠け、勝新のプロモーション・ビデオ? と思わせてしまうところもあるが、ドラマ性に拘らない荒っぽさや、全体を包む男臭さが本作の魅力。陣内孝則や内田裕也といった豪華な悪役が、湯水を使うように斬り捨てられていく様も痛快だ。勝新が二十余年をかけて完成させたキレのあるアクションと座頭市の圧倒的な存在感は健在。小汚く、小ずるく、小憎らしいという独特のヒーロー像も今観ても新鮮だ。
<<ストーリー>>
牢獄を出た盲目の居合い抜きの達人・市は、小さな漁村に流れ着き、五右衛門一家の取り仕切る賭場で大儲けした。勝ち逃げされた五右衛門一家は、市の命を狙うが、女親分・おはんの執り成しで、その場は引き下がることに。
五右衛門は市を殺すための用心棒として、市が旅先で知り合った浪人に目をつけた。大金にひかれて、五右衛門に雇われることになった浪人だったが、どうしても市を殺すことができなかった……。