友人を訪ねてやってきた青年が、友人の婚約者と恋に落ちる。
ピクニックでの出来事を描く青春ロマンス。
ピクニック
PICNIC
1955
アメリカ
115分
カラー
<<解説>>
ブロードウェイでヒットし、数々の賞を受けたたウィリアム・インジ原作の舞台劇を、ウィリアム・ホールデンの主演で映画化した作品。ヒロインには、『めまい』の代表作で知られる美人女優キム・ノヴァク。
玉の輿という保守的な幸せよりも、情熱的な愛を求める娘の前に現れた放浪の青年。その日の朝に出会い、ピクニックを通して燃え上がり、翌日の朝に別れるという瞬間的なロマンスを描いていく。物語の舞台となるピクニックであるが、日本でイメージされるそれように、公園なんかで弁当を広げるといったものではない。進行役がいて、ゲームや歌や踊りなんかの余興がある、ちょっとしたフェスティバル。日本で言うところの町内会のお祭り、といったところである。
典型的なロマンスではあるが、抑圧された女性の姿がテーマとして意識的に描かれているようである。町内会のお祭りであるところピクニックは、町という狭い世界での保守的な人生を象徴しているのであり、ヒロインの広い世界へ飛び出したいという欲求が、よそ者である青年との情熱的、瞬間的な恋に転化されていると見ることができる。テーマを描くために、役割が明確された登場人物が、チェスの駒のように無駄なく配置され、動いていく様は快感であり、さすがブロードウェイと思わせる。しかし、映画としては、物語が出来上がり過ぎているところは否めない。
<<ストーリー>>
夏の終わり頃、カンザスの田舎町に、放浪者のハルが、大学時代の友人のアランに会いやって来た。ちょうど、その日は近所の人たち皆で出かけるピクニックの日だった。アランは婚約者のマッジの一家とピクニックに出かけるつもりだったが、ハルも一緒についていく事になった。
町一番の美人であるマッジは母親から、このピクニックが金持ちであるアランの玉の輿に乗るチャンスだと言い聞かせられていた。だが、マッジは母親の望むような生き方に疑問を感じていた。
ピクニックの余興の美人コンテストではマッジが優勝。そんなマッジの美しさに心を奪われたハルは、自分がよそ者であることもお構い無しに、皆が見ている前で彼女と華麗に踊るのだった……。