空想家の男が上の部屋に越してきた美女と結婚七年目の浮気を考えるコメディ。

七年目の浮気

SEVEN YEAR ITCH

1955  アメリカ

105分  カラー



<<解説>>

ブロードウェイの舞台劇『7年越しのムズムズ』を喜劇の巨匠ビリー・ワイルダーが映画化したロマンティック・コメディ。美女との浮気という妄想が次第にエスカレートし、ひとりで七転八倒する中年男の姿を、自戒を込めつつ面白おかしく描いていく。一応ラブ・コメだった前作『麗しのサブリナ』はしっとりした作品だったが、一変して本作は軽妙で明るく仕上げている。良い意味で他愛も無い作品である。
主演として、名無しのヒロインに扮したマリリン・モンローは、既にスターであったが、地下鉄の通風孔から吹き上がる風でドレスの裾がめくれ上がる、というシーンおかげで、彼女の出演作の中で最も有名な作品となった。そのシーンで着ている胸のあいた白いドレスは、彼女のトレードマークとなっている。
実在感が乏しくフワフワした様子から、その存在自体が主人公の中年男の妄想の産物かもしれない二階の娘。それは、男の理想を反映したような愛嬌があって気の利く美女。よくセックス・シンボルの代表とされているモンローだが、セクシーというよりはキュートに撮られている。少なくとも、通風孔のシーンから連想されるはしたない女性ではなく、主人公とじゃれ合うように、仲良くピアノの連弾をする場面など、微笑ましい限り。しかし、それでも不倫を匂わせる内容は、当時としてはセンセーショナルだったという。



<<ストーリー>>

妻のヘレンと息子のリッキーが、バカンスに出かけている夏の間、マンハッタンの自宅に一人で留守番をする事になった結婚七年目のリチャード。幸か不幸かリチャードの家の上の階に、色っぽい娘が越してきてしまった。雑誌社で読み物の企画を担当するリチャードには空想癖があり、さっそく、娘との浮気を考え始めたのだった。
娘が植木蜂を落した事をきっかけに、現実に彼女を部屋に誘そおうとするリチャード。だが、翌日、娘が二人の仲を世間に言いふらすという妄想に捕らわれた。妄想はエスカレートし、ついには、避暑地にいるヘレンが、一緒にいる友人のマッケンジーと浮気をしていると思い込んでしまうのだった。
ヘレンがその気ならこっちも、と、リチャードは、ある晩、思い切って娘を部屋に誘ってみるのだが……。





<<スタッフ>>