ニューヨークのハイテク高層ビルでグレムリンが大暴れ。
さらに遺伝子研究から様々な新種が発生!

グレムリン2
新・種・誕・生

GREMLINS 2:
THE NEW BATCH

1990  アメリカ

106分  カラー



<<解説>>

ホラー、パニック、コメディの要素をぶち込みヒットした『グレムリン』の六年ぶりの続編。製作総指揮のスピルバーグ、監督のジョー・ダンテは、前作と変らないが、脚本は、クリス・コロンバスから、後にダンテとのコンビで『マチネー 土曜の午後はキッスで始まる』を手がけるチャーリー・ハースに交代。また、SFXは、クリス・ウェイラス社に代わり、76年版『キングコング』や『狼男アメリカン』で有名なリック・ベイカーのスタジオが担当。
物語の舞台はニューヨーク。田舎から上京し、巨大オフィスビルで働き始めた主人公が、ビル内の遺伝子研究所で実験台にされそうになっていたギズモと再会。とろこが、またあの三つの約束を破ってしまい、誕生した怪物がビル内で大暴れするという話。続編のネタに困ったら、とりあえず外国や大都会へ進出、というお約束にならったように見えるが、ほとんどハイテク・ビル内で展開するところは、『ダイ・ハード』のパロディを狙ったのかもしれない。
舞台が田舎町から高層ビルに換わったといっても、同じ怪物が同じように暴れたのでは前作の繰り返し。そこで本作は、遺伝子操作によって様々な怪物の変種を登場させることで、前作から変化を出している。翼が生えたり、電気になったり、女になったりと、リック・ベイカーらが手腕をふるった怪物の変化を見るだけで楽しいが、その代わりに怪物のキャラクターを恐ろしいものから滑稽なものに変えている。
よりファミリー向けを狙ったのか、怪物が人間を襲うシーンに残酷さはなく、それに対する人間たちもわりと暢気。普通のホラーならば、悪役であるはずのビルの支配者も憎めない能天気キャラになっている。怪物の戦いは、怪物退治というより、害虫駆除といった程度の話で、作品のホラー色も薄まっている。ホラー色も薄まった分、ギャグやパロディが満載で、『バットマン』、『ランボー』、『オズの魔法使』、はては自虐的なセルフパロディまで飛び出す。前作とはまた違ったエンターテインメントに仕上がっている。
ちなみに、怪物が本編を上映中の映写室に進入してフィルムに悪戯し、映画が中断されるというシークェンスは、後に発売されたビデオソフトではビデオ用のシークェンス(電気的ノイズが走り、画面が砂嵐に。そして、怪物が画面に登場…といったもの)に差し替えられている。



<<ストーリー>>

怪物騒動のあった故郷から、ニューヨークにやってきたビリーと恋人のケイトは、最先端オフィスビルのクランプ・トレード・センターで働くことになった。テレビネットワークCCNの本社であるビルは、実業家のダニエル・クランプという一人の男が支配していた。
クランプ・センターには、クランプが展開する建設、スポーツ、金融などの多角事業のオフィスの他、遺伝子研究センターなどという怪しげなテナントが置かれていた。自動ドア、エレベータ、空調などの様々な設備は最先端技術で管理され、ビル内のあらゆる場所に監視カメラが設置されていた。
チャイナタウンの再開発事業を進めていたクランプは、立ち退きに応じない骨董品店の店主のウィンに手を焼いていたが、そのウィンが死去。いよいよ計画が始動することになった。ウィンの死で、一人取り残されたモグアイのギズモは、取り壊させる店が脱出。路地裏をさまよっていたところを、クランプの遺伝子研究センターの職員に拾われた。
チャイナタウン計画にデザイナーとして参加していたビリーは、クランプの徹底した管理体制に息苦しさを感じていた。そんなある日、ビリーは、メッセンジャーボーイが聴き覚えのある鼻歌を鳴らしているのに気付いた。それはギズモの良く歌っていた歌だった。ビリーは、メッセンジャーボーイが歌を聴いたという遺伝子研究センターに向かい、実験台に供されようとしていたギズモと再会した。
ビリーはギズモを家に連れて帰るつもりで、彼をデスクの引き出しに隠したが、こんな時に限って、めったに社員と会わないクランプがオフィスにやってきた。クランプはビリーのデザイン画を大いに気に入ったようだった。オールドミスの上司のマーラは、出世の道が見えたと上機嫌になり、ビリーを夕食に誘った。上司の誘いとあっては断れないビリーは、ギズモのことをケイトに頼むことにした。
ケイトが来るのを待つ間、ギズモは誤って給水器から噴射された水を浴びてしまった。ギズモの体から、四匹のモグアイが誕生。四匹のモグアイは、ギズモを換気口の中に閉じ込めてしまった。そして、ギズモを迎え来たケイトは、ギズモと間違え、別のモグアイ“ダフィー”を連れ帰ってしまった。
ビリーはマーラに誘惑されそうになったため、夕食を早々に切り上げて帰宅。家にいたダフィーを見て、ビリーは愕然とした。ちょうどその時、故郷からフターマン夫妻が訪ねて来た。怪物騒動に遭い心に傷を負っているフターマンに、モグアイを見せられるはずもなく、ビリーは適当な理由をつけ、今夜はホテルに停まるよう頼んだのだった。
ビリーはダフィーをバッグに押し込み、クランプ・センターにギズモを探しに向うが、既に残りの三匹のモグアイが売店に出没し、大騒ぎになっていた。ビリーは、これ以上モグアイを増やさないよう水道管のバルブを閉めに給水設備に向うが、テロリストに間違えられ、逮捕されてしまうのだった。その間、モグアイたちは蛹に変化していた。
翌朝、釈放されたビリーは、システム制御室に向かい、警備係のフォースターにビルを閉鎖するよう頼んだ。制御室のエンジニアたちは、ビリーの話を信じようとしなかったが、その時、蛹からかえり怪物と化したモグアイが現れ、エンジニアたちに襲い掛かった。
ビルでコンパニオンとしてて働いているケイトは、見学者を料理番組の収録に案内していた。すると、スタジオに怪物が現れ大暴れ。怪物は、電子レンジを使って火災を起こし、作動したスプリンクラーの水を浴びた。怪物は爆発的に増殖していった。
怪物は社長室にも現れたクランプに襲い掛かった。クランプは、報告にやって来たフォースターとビリーに、怪物のことを外部のマスコミに漏らさず自力で解決するよういいつけた。だが、事態は二人で解決できる範囲をとっくに超えていた。
遺伝子研究所に現れた怪物は、研究成果の薬剤を飲み散らかし、体を様々に変化させていった。体が野菜のようになるヤツ、翼が生えて空をとべるようになるヤツ、電気のようになるヤツ、蜘蛛のようになるヤツ、性転換して女になるヤツ。脳細胞活性化の薬剤を飲んだ怪物は、頭脳明晰で人間の言葉をしゃべる“ブレイン”に変身した……。