偶然マフィアの殺人の証拠を知ってしまった少年と彼に雇われた女弁護士が、
FBIやマフィアという巨大な相手と戦う姿を描くサスペンス。

依頼人

THE CLIENT

1994  アメリカ

118分  カラー



<<解説>>

『ザ・ファーム 法律事務所』、『ペリカン文書』に続く、ベストセラー作家ジョン・グリシャムの原作の映画化第三弾。マフィアの殺人の証拠を偶然知ってしまった少年と彼を守ろうとする女弁護士の姿を描く。弁護士にはスーザン・サランドン、彼女と対決する検事にトミー・リー・ジョーンズ。“依頼人”の不良少年を好演したのは、オーディションで選ばれたブラッド・レンフロ。『マイ・フレンド・フォーエバー』や『スリーパーズ』で活躍し、二十五歳で夭折した彼のデビュー作である。監督のジョエル・シューマカーは、後にグリシャムのデビュー作「評決のとき」も映画化している。
グリシャムの映画化作というと、法律的に専門的で、かつ、社会派の内容がやや難解だが、本作に限っては、頭を使わなくとも単純に楽しめる娯楽作としてまとまっている。社会の裏を描いたややこしい陰謀ものではなく、敵味方がはっきりした勧善懲悪的なストーリーであることや、子供が主人公であるところも、とっつきやすい。『ペリカン文書』と同様、女性が巨大な敵に立ち向かってくシチュエーションであるが、実際のところは、弁護士と依頼人である少年の二人三脚であり、終盤はほとんど少年のほうがリードしている。少年のちょっと憎たらしい感じが絶妙で、親子のように支えあう二人というヒューマンな味付けを嫌味なく観せている。



<<ストーリー>>

十一歳の不良少年マーク・スウェイは、弟のリッキーと一緒に隠れてタバコを吸おうとした森の中で、弁護士の男が自殺しようとしているのを目撃した。男はマークを見つけると、彼の依頼主であるマフィアの殺した議員の死体の隠し場所を無理やり彼に聞かせてから自殺した。男が死ぬの瞬間を見たリッキーはショックで倒れてしまい、マークも森での出来事を誰にも言えずにいた。
FBIとマフィアからの追及を恐れたマークは、リッキーを守るため、レジー・ラブという敏腕女性弁護士をすがる思いで頼った。マークが出せる金はたったの1ドル。それでも、レジーはマークの依頼を引き受けた。レジーは、マークに対して不当な捜査をするFBIと検事のロイ・ファルトリッグと戦うが……。