非暴力・不服従を唱えながらインド独立運動を戦った
指導者“マハトマ”ガンジーの半生を描くドラマ。
ガンジー
GANDHI
1982
イギリス/インド
188分
カラー
<<解説>>
非暴力・不服従運動で知られるインド独立の父、マハトマ・ガンジーの伝記もの。リチャード・アッテンボローの監督としての代表作の一つ。主人公ガンジーに扮するのは、インド人の血を引くイギリス人俳優ベン・キングズレー。本人に生き写しのようにそっくりな演技は高く評価された。
イギリス時代のガンジーの青年期から、インドへ帰り独立運動にいそしんだ壮年期、大戦を挟み、インド独立後に暗殺される晩年までを描く。三時間を超える長尺の作品ながら、事実にそって忠実に描かれているされているだけあり、展開はひじょうにめまぐるしく、一時も目が離せない。ガンジーの半生のダイジェストといった様相である。有名な“塩の行進”などの見せ場では、膨大な数のエキストラを動員し、ダイナミックな画面を構成。往年の歴史劇をも思わせる超大作となった。
ガンジーは自らを戦略家を呼んでいた。弁護士という経歴からも裏付けられるように、巧みな演説で民衆を引き付けたり、下層の人間に取り入り彼らを味方に付けたりするのすが上手かったようである。クールな英国紳士然としていた彼が、わざわざボロをまとって、庶民的な生活を送るのも、運動家としてのイメージ戦略だったのだろう。そんなガンジーの老練な戦略家としての一面も本作は描いている。
また、その独特の風貌、禁欲家、非暴力運動などから受ける控えめなイメージとは異なり、本作を観る限りでは、実際のガンジーは驚くほど楽観的でマイペースな人物だったようである。それは人々を惹きつけるカリスマとしては不可欠な資質だろう。本作は、そんなガンジーの人柄を丁寧に描くことで、独立という成果をあげた優れた指導者としてのガンジーよりも、より多くの人々に与えた魅力的なカリスマとしてのガンジーの姿に焦点を当てているようである。
<<ストーリー>>
1893年。ロンドンで学んだインド人の弁護士モハンダス・ガンジー。仕事で訪れた南アフリカで、黒人の差別を目の当たりにした彼は、黒人の正当な権利を得るために立ち上がった。街頭での抗議活動をしたガンジーは逮捕されるが、どんな仕打ちを受けて抵抗しすることしなかった。そうすることで相手の不正に気づかせようとしたのだ。南アの将軍もガンジーの頑なな姿勢に根負けし、彼を釈放したのだった。
1915年ボンベイに帰ったガンジーは、たった一人で大英帝国に挑んだ英雄として大歓迎された。ガンジーは、インドの独立を目的とする国民会議に協力し、独立運動を開始したが、地方を視察中に逮捕されてしまった。イギリスは、まったく抵抗しなかったガンジーを裁くことができず、すぐ釈放した。
1919年。ガンジーを追及できないイギリスは、代わりにガンジーの支持者の言論や集会を取り締まるため、対テロリスト法を施行した。ガンジーは言論弾圧に抗議するため、国民に呼びかけて、法律の施行日を休日にしてしまった。だが、そのことがきっかけとなり、怒ったイギリスの急進派の将軍が、集会を開いていたインド人千五百人を虐殺するという事件が起こってしまった……。