大企業の御曹司とクラブ歌手が結婚と離婚を繰り返すロマンティク・コメディ。
あなたに恋のリフレイン
THE MARRYING MAN
1991
アメリカ
115分
カラー
<<解説>>
喜劇の巨匠ニール・サイモン脚本によるロマンティック・コメディ。アメリカに同じ相手と四度も結婚したカップルが実在し、それを基にした物語であるという。キム・ベイシンガーとアレック・ボールドウィンが主人公のカップルを演じる。監督は、「ブレイブ・リトルトースター」というアニメ・シリーズを手がけたアニメ出身のジェリー・リース。
五十年代のアメリカの華やかな都会を舞台にした、企業の御曹司と女優志望のクラブ歌手の数奇な恋愛の物語である。様々な困難に遭いながら、その度にくっついたり離れたりする二人の姿をユーモアたぷりに描く。別離の原因が浮気とか第三者の陰謀的介入とかいったものではないので、愛憎激とは言ってもまったくドロドロしていない。勝手に心変わりし、勝手に別れたりくっついたりする様は、バカップルの痴話げんかの様相であるが、それをライトでオシャレな感覚で描いているところが特徴である。
主演の二人の役へのハマりっぷりも見どころ。とにかくだらしがないのだが、女性なら母性本能をくすぐられそうなプレイボーイにアレック・ボールドウィンがぴったり。相手役のクラブ歌手に扮するキム・ベイシンガーが、持ち前の歌唱力で披露するスタンダード・ナンバーも聴き逃せない。
恋愛の賞味期限は三年とよく言われているが、主人公たちはそれに抗わずにうまいことやってきた。いったん距離を置いてみるというのは、恋愛の知恵として適っているため、ひょっとしたら彼らの関係は、理想的な男女関係のひとつなのかもしれない。なんだかんだで仲睦まじい二人の姿は、観てるほうもちょっと照れてしまうほど微笑ましく、幸せな気分にさせてくれる作品だが、末永く円満でやっていく方法について考えさせてくれるという意味でも、カップルで観ることをおすすめしたい作品である。
<<ストーリー>>
1948年・歯磨き粉会社会社の御曹司チャーリー・パールは、映画プロデューサのホーナーの娘アデルと婚約。ところが、独身最後の思い出にと、友人と一緒に遊びに行ったラスヴェガスで、セクシーな歌手ビッキーに一目惚れしてしまった。
その夜、チャーリーとビッキーは愛し合うが、ビッキーの恋人であるギャングのシーゲルに見つかってしまった。ビッキーは、浮気女と間男への罰として、チャーリーとビッキーに結婚することを要求。だが、所詮は一夜の恋。チャーリーとビッキーは翌朝には分かれてしまった。
ホーナーとアデルは、チャーリーがベガスで結婚していたことを知って激怒。チャーリーは、脅されてしたことだと弁解し、アデルと結婚することを誓った。ところが、あるパーティで偶然に再会したビッキーと再び燃え上がってしまった。チャーリーはピッキーと改めて結婚するのだった。
社長に就任したチャーリーは、仕事のためボストンへ引っ越しした。二年後、仕事に追われるチャーリーは、ビッキーへの情熱も覚めてしまっていた。ビッキーも結婚生活より、歌手活動に熱心になっていた。離れた心を修復できないまま、二人は離婚した。
それから、数年後、結婚する友人のため、あの日と同じようにラスヴェガスへやってきたチャーリーは、ギャングの下にいたビッキーと再会した……。