リッグスとマータフの刑事コンビが内務調査官の女と共に
押収銃の流出に手を染めた元刑事に挑む。

リーサル・ウェポン3

LETHAL WEAPON 3

1992  アメリカ

118分  カラー



<<解説>>

大ヒットシリーズの第3弾。80〜90年代を代表するポリス・アクションとして、乗りに乗っている雰囲気が画面から伝わってくるような、一大エンターテインメント。監督はシリーズのすべての作品を責任を持って(?)手がけているチャード・ドナー。主演はもちろん、メル・ギブソンとダニー・グローバーのコンビ。。
前作までは、この主役二人の孤立奮闘を描いていたが、本作から二人の周辺は賑やかになった。まず、前作のキーパーソンだったジョー・ペシ演じるペテン師・レオがレギュラーに。本作のヒロインであるレネ・ルッソ演じる女刑事・ローナとリッグスとのロマンスは本格的で、彼女もレギュラーとなった。新たな仲間やリッグスの恋人の登場は、妻の死や自殺志願という暗いイメージを払拭し、次のステージへの発展を印象を付けている。
物語は、マータフの定年の一週間前から始まる。警察の倉庫から押収品である改造銃が犯罪者の手に流出するという事件が発生していた。リッグスとマータフは、二人が逮捕した容疑者を内務調査部が調べていることを知ったことをきっかけに、銃の横流しをしていた元刑事と対決することになっていく――脚本を手がけたのは、前作から続投のジェフリー・ボーム。前作同様、犯人を追い詰めるための地道な捜査、といったようなことは描かず、犯人との直接的なチェイスを中心に描いている。かったるい調査を使いっぱしりのレオに担当させることで、捜査シーンをなるべく観せないようにするという徹底ぶりだ。
ヒロインが積極的に関わっていくところは本作の大きな特徴だ。定石としては、ヒロインは主人公と反対の性格に描かれるはずだが、本作のヒロインのローナは、リッグスに引けを取らないほどの負けず嫌いで、かつ、無鉄砲なキャラクターとして描かれている。似たもの同士のリッグスのローナが張り合いながら事件に取り組んでいく様が微笑ましい。また、ローナは格闘技の使い手という、非常にアグレッシブなヒロインであるところも面白い。敵との対決シーンの見せ場としては、銃撃戦より格闘の方にやや比重が置かれているようだが、その際、主役の二人を食ってしまうほどの活躍を見せている。
このシリーズの目玉と言えば、趣向を凝らされたド派手なアクション。本作も、さらにパワーアップしたアクションがスクリーン狭しと展開する。冒頭から、ビル一棟の大崩壊という大掛かりなスペクタクルを度肝を抜かされるが、賞味二回あるカーチェイスのうち、二回目は必見。地下鉄から、市街、そして、ハイウェイへと展開するチェイスをノンストップで観せていくのだが、走行中の地下鉄のフロントにしがみ付いたリッグスが、運転手に指示を出しながら、前を走る車を追うという場面が凄い。このありえなさが、「リーサル・ウェポン」の真骨頂なのだ。



<<ストーリー>>

ロサンゼルス市警のベテラン刑事ロジャー・マータフの定年まで、あと一週間に迫った日、ビルに爆弾が仕掛けられるという事件が起こった。マータフは相棒のマーティン・リッグス刑事と共に現場に急行。爆弾は単なる脅しで仕掛けられていないと踏んだリッグスは、マータフが止めるのにもかかわらず、勝手にビルに入り、本当に仕掛けられていた爆弾を炸裂させてしまった。爆弾処理班が到着した時には、ビルは跡形もなく崩れ去っていた。
ビル爆破という大チョンボをやらかしたマータフとリッグスは、翌日からパトロールに降格。やる気が起らず喧嘩ばかりしていた二人は、偽の現金輸送車で集金を奪おうとしていた強盗を偶然に発見。リッグスは咄嗟に偽の現金輸送車に飛び乗り、マータフもその後を追った。リッグスは、二人組の犯人のうち一人には逃げられてしまうが、もう一人の共犯者のビリーを逮捕したのだった。
ビリーは銃と一緒に、コップキラーという名の特殊な銃弾が所持していた。それは、防弾チョッキの鉄板を軽く貫くほどの威力のある弾だった。マータフとリッグスは、ビリーに詳しい事情を聞くため、留置所に面会に向おうとしたところ、同じ目的でやって来たローナ・コールという若い女性の内務調査部と出会った。ビリーの件は内務調査部が引き取ることになったのだという。マータフとリッグスは、部長のマーフィに理由を問いただすが、極秘事項であるを理由に突っぱねられてしまった。
ビリーの件の経緯を教えられない代わりに、通常職務に復帰させられたマータフとリッグスは、ローナと共にビリーに面会に向った。だが、面会室のビリーは何者かに射殺されていた。ビリー殺害の様子は監視カメラで録画されていた。マータフたちと一緒にビデオを確認したローナは、そこに映っていた犯人を指し、ジャック・トラビス警部補だと言った。トラビスは腕利きの刑事だったが、違法捜査の常習で、現在は行方をくらましていた。
以前、マータフとリッグスが証人とした警護したことのある元銀行員のレオ・ゲッツは、今はマータフの家を売るために奔走していた。たまたまマータフを警察に訪ねてきていたゲッツは、トラビスの映ったビデオを見て、彼と最近、会ったことがあることを思い出した。ある筋からの紹介で、トラビスのためにアイスホッケーの観戦チケットを入手していたのだ。マータフ、リッグス、ゲッツの三人はリンクに向かい、客席にトラビスを発見するが、人ごみに紛れて逃げられてしまった。
パトロールに戻されたマータフとリッグスは、今度は少年たちによる麻薬取引の現場に遭遇。リッグスの声に気付いた少年たちの大半は車で逃げられてしまうが、近くの小屋に逃げた黒人の少年と撃ち合いになった。マータフは、殴られて倒れたリッグスを庇い、無我夢中で小屋に向けて引き金を引いた。少年が小屋から這い出し、そのまま息絶えた。マータフは死んだ少年を見て愕然とした。それは息子ニックの友達ダリルだった。
定年まであと五日という時に起こった悲劇は、マータフに大きなショックを与え、すっかり意気消沈してしまった。一方、ビリーの件を自分でかたをつけたいリッグスは、同じ警官なのに手の内を明かそうとしないローナに食い下がっていた。ローナはリッグスの熱意に負け、ビリーの件を内務調査部が引き取ることになった理由を明かした。
ダリルの持っていた銃は、かつて警察が押収したはずの改造銃だった。実は、警察の保管庫から、廃棄予定だった同じ型の銃が大量に消えているのだ。手引きをしているのは内部の人間に違いなかった。警察は極秘で調査を進めようとしたが、そんな時、ビリーの持っていたコップキラーを、リッグスがかぎつけてしまった。こうして、ビリーの件は内部調査部が引き受けることになった。そして今、武器流出の首謀者とみられるトラビスに行き着いたのだった……。