今年のイブはニューヨークで一人ぼっちになってしまった9才の少年。
脱獄してきた泥棒コンビと対決する。

ホーム・アローン2

HOME ALONE 2:
LOST IN NEW YORK

1992  アメリカ

120分  カラー



<<解説>>

若干八才の少年がたった一人で泥棒を撃退する様を描き、大ヒットを飛ばしたコメディ『ホーム・アローン』の続編。主要スタッフ、主要キャストは前作と同じ。コロンバスのポップな演出、ヒューズのソツの無い脚本、カルキンのこましゃくれた芝居ががっちりと組まれた、文句のつけようの無いエンターテインメントだ。
公開は前作から二年後だが、劇的には前作の翌年の話。カルキン=ケビン少年もひとつ年が上がり九才となった。去年は家に置いてけぼりにされたケビン少年だったが、今年は乗る飛行機を間違え、ニューヨークで独りぼっち。前作のご近所からニューヨークへ移り、物語の舞台はずいぶんと大きくなった。日常生活の中のささやかな冒険家ら、右も左もわからない大都会での大冒険ということになるのだが、スケールが大きくなっただけで、出来事は基本的には前作をなぞっている。
まずは、独りぼっちになったケビンが、寂しがるどころか気が済むまでやり放題するというくだり。前作では、家族の前ではやり難かった遊びや暴飲暴食をやりまくるというものだったが、今作でそれに代わるのは、高級ホテルでの豪遊。ルームサービスを頼みまくり、リムジンを呼びつけてお買い物。今でこそ、当時のカルキンのリッチ振りを思えば、釈然としなものの、子供らしい好奇心や変身願望を満たす痛快な場面だ。
クライマックスの泥棒との対決だが、これも前作を踏襲し、対決の舞台となるのは一軒の家。とは言って、もちろん自宅ではない。少々話が強引なところが、改装中の伯父さんの家が用意される。前作のように、住み慣れた家が泥棒撃退装置に変貌するというのが、子供の想像力を刺激し、日常の中の冒険を演出していたのだが、今回はその辺りの楽しさは失われている。また、イタズラの仕掛けも、あまり新しいアイデアが見られない。しかし、工事現場という場所柄、レンガ、発電機、ガスバーナー、灯油といった一般家庭にはあまりないようなアイテムを獲得し、イタズラの過激さで不足部分をカバー。カートゥーンのようなドタバタ描写を狙ったような、ペシとスターンの泥棒コンビのオーバーなリアクションも良好だ。
ドラマ部分に関しては、前作のシャベルの老人の役どころが、ハト使いのホームレスのおばさんにとって代わり、ケビン少年との交流を描いていく。ケビンは初めから泥棒に対して強気なので、前作のような成長する姿は見られないが、ハトというキーアイテムをあまく使い、友情を演出していく。クリスマス映画らしい大団円と、心温まるイイ話でまとめているところは、感動というより、まずはお手本のような出来の良さに感心してしまう。
全体の印象としては、続編というよりは豪華版で、それ以上でも以下でもない内容だ。ヒットした前作の良いところをそのまま残し、ブラッシュアップしている。その反面、新しいことには何ひとつして挑戦していないが、前作を楽しんで観れたのではあれば、その期待には十二分に応えてくれる作品だ。



<<ストーリー>>

シカゴのマカリスター一家と伯父さん一家は、今年はマイアミでクリスマスを過ごすことになった。出発の当日、またも寝坊してしまった一家は、迎えに来た車に大急ぎで飛び乗った。母親のケイトは末っ子のケビンの姿が見えないのに気づいて焦るが、当人はいち早く助手席に座っていた。ケビンも二年続けて置いてけぼりはご免こうむりたいのだった。
空港を登場口に向かって走るマカリスター一家。ケビンは、荷物を預ける前に、お気に入りのテープレコーダーの電池をどうしても取り替えておきたかった。父親のピーターから鞄を借りて、急いで電池を交換するケビン。気が付けば皆を見失っていた。搭乗口にたどり着いた時には既にゲートは閉まっていて、その上、チケットも無くしてしまった。ケビンは係員に事情を説明し、どうにかゲートを通してもらえたのだった。
空港を飛び立つ二機の旅客機。一機はマイアミへ。もう一機はニューヨーク行きだった。飛行中、ケイトはイヤな予感がしていた。予感は的中。一家は、集荷場でケビンが居ないことにようやく気が付いたのだ。ケイトとピーターは空港警察で事情を話しシカゴへ連絡をとってもらうが、ケビンは家に戻っていないようだった。その頃、ケビンは、到着した空港の窓から見える摩天楼を見て不思議に思っていた。そこはニューヨークだった。 ちょうど一年前、ケビンの活躍により逮捕された間抜けな洪水強盗のハリーとマーブが脱獄に成功。ハリーとマーブはトラックの荷台に隠れて逃げ延び、ここニューヨークにたどり着いていた。自由を手に入れたと確信する二人は、まさかこの街に天敵のケビンが来ていようとは、夢にも思わないのだった。
自分がどこにいるのか理解したケビンは、皆が居なくて少し寂しくなるが、すぐにニューヨークの一人旅を楽しもうと思い直した。まず公園に向かったケビンだったが、体中、ハトだらけのホームレスのおばさんと目が合い、びっくりして逃げ出した。ケビンは落ち着ける場所を探なければならなかった。目をつけたのは、この街でもっとも高級でハイセンスなプラザホテル。
プラザホテルにやってきたケビンは、テープレコーダーで大人の声色を作ると、電話からピーターの名前で予約を入れた。そとて、ピーターの鞄の中に入っていたカードを使い、チェックインに成功。ボーイに案内された部屋を見て、ケビンは目を丸くした。そこは、大統領も泊まったという超豪勢なスイートルーム。ふかふかの大きなベッド。戸棚にはおいしそうなお菓子がいっぱい。ケビンは、至れり尽せりのホテル暮らしを大いに満喫するのだった。
クリスムスイブ。ホテルのマネージャは、親の姿が見えず、一人で行動しているケビンのことを怪しんでいた。マネージャは、ケビンが超高級リムジンで出かけている間にカードを照会。案の定、盗難の届けが出ていた。それもそのはず、ピーターが念のためカードを止めて置いたのだ。
この街いちばんのおもちゃ屋にやってきたケビンは、店のオーナーのダンカンが、毎年、イブの売上のすべてを恵まれない子供たちに寄付していると知り、感銘を受けた。ケビンは持っていた10ドルを子供たちのために寄付することに。ダンカンはケビンへのお礼として、ハトの飾りをツリーから二つ取り、彼に差し出した。一方を大事な人に渡すと、ずっと友達でいられるのだという。
ハリーとマーブは、クリスマスの売上を狙い、おもちゃ屋に盗みに入る計画を立てていた。ダンカンの店に下見に行ったハリーたちは、偶然、店の前にいたケビンを発見。ここで会ったが百年目。ハリーとマーブはケビンを捕まえようとした。ケビンはハリーたちの手をすり抜け、ホテルへ直行。だが、ホテルの前で待ち受けていたのは、彼をカード詐欺と疑るマネージャだった……。