マイアミで開かれる警察署長大会に出ることになったポリアカ軍団。
ひょんなことから校長が宝石泥棒に誘拐されてしまい…。

ポリスアカデミー5
マイアミ特別勤務

POLICE ACADEMY 5
ASSIGNMENT: MIAMI BEACH

1988  アメリカ

90分  カラー



<<解説>>

「ポリアカ」シリーズもついに5作目。よくもまあ続いたのだが、やはりマンネリ感は否めなかった。そこで、本作は、「マンネリ化したら場所を変えてみる」というシリーズもののセオリーに従い、舞台はマイアミへ。常夏の町で、いつにも増した能天気なドタバタが展開していく。
「ポリアカ」の主人公だったグッテンバーグ演じるマホニーが降板後の第一作である。なぜか登場キャラも減ってしまい、本編に登場するの名物卒業生が、ハイタワーら五人のみなのは少しさみしい。しかし、前作に“市民パトロール”で登場したコンクリンが新しいメンバーに加わっている。また、マイアミでは、マホニーに代わシリーズの主人公となるラサード校長の甥ニックが初登場。ただし、まだ顔見せ程度である。では、本作の主人公は誰なのか。それはラサード校長である。彼は、クセのあるキャラクターの中でもいちばんの奇人なのではないだろうか。過激なギャグが多い中にあって、お茶目な表情で観るものを癒してきた貴重な存在だ。これまではストーリーの合間に登場する程度だったが、本編では出ずっぱりの活躍である。まさに、校長ファン必見の一編だ。
警察署長大会のため、卒業生たちとマイアミにやってきた校長が、宝石泥棒と鞄がすり替わってしまったために、身辺を狙われるハメになるのだが、本人はそのことに気付いていないというコメディがメイン。校長の勘違いぶりと強運ぶりが笑いのポイントだ。卒業生、および、ハリスたちはというと、クライマックス恒例の大捕り物アクションまでは、マイアミのビーチや警察署長大会で騒動を巻き起こしていく。ただ、ギャグのネタはやり尽くされた感があり、前者のビーチでのドタバタにいたっては、愉快ではあるが警察官である必要がまったくないのは、やや残念。
お楽しみのクライマックスは、ボート・チェイスである。ボート・チェイスというと、すでにパート3でやっているが、追跡する場所は川というより湿地帯であり、乗物も正確にはプロペラボートであるため、雰囲気も大分違ってくる。プロペラボートは日本ではポピュラーでないだけに新鮮。また、果てしない湿地帯を追跡していく様は壮観だ。『地獄の黙示録』のパロディも入れたりして、画的にも面白いものになっている。
校長をめぐる大ネタ以外のギャグが雑だが、クライマックスにかけて徐々に盛り上がればOKという開き直ったスタンスは、B級映画の鑑。そこを目指していたかは別として、「ポリアカ」もようやく、B級おバカ映画の殿堂に達したといったところだろうか。しかし、それ以上に、ジャッキー・チェンあたりの香港コメディのユルさに接近しているような気がしないでもない。



<<ストーリー>>

アカデミーの校長の座を狙っているハリス警部にとって、ラサード校長は目の上のたんこぶだった。ある夜、ハースト長官の部屋に彼のオフィスに、部下のプロクターと一緒に忍び込んだハリスは、盗み見たラサードの資料から、実は彼が既に定年に達していたことを知ったりだった。
アカデミーの訓練生の卒業式。式の最後にハーストから発表されたニュースは、ラサードにとってこの上なく嬉しいことだった。長年の功績が称えられ、マイアミで開かれる警察署長大会で、最高警察官として表彰されることになったのだ。だが、その直後、残念なニュースがハーストから伝えられた。ラサードが定年のためアカデミーを去ることが決ったのだ。ハリスによる人事部への告げ口のせいだった。
ラサードは、自分がアカデミーを去らなければならないとはじめて知り、すっかり落ち込んでしまった。だが、教え子たちに勇気付けられ、すくに元気を取り戻した。マイアミの大会に胸を張って出かけようと、やる気満々の様子である。
一方、次期の校長の指名を期待していたハリスだったが、ハーストにまだその気はないようだった。ラサードは生徒から敬愛されているが、気ににはそれが足りない、とハーストから指摘されたハリスは、マイアミの大会を自分の株を上げることに利用しようと思いついた。自らもマイアミに乗り込み、ラサードの表彰を率先して称えることで、度量の深さを皆に見せつける計画である。
ラサードは、キャラハン、ハイタワー、ジョーンズ、タックルベリー、フックス、そして、本年度の卒業生“ハウス”ことコンクリンらと共にマイアミに飛び立った。ハリスとプロクターは特別便でマイアミに向うことにしたが、ハイタワーらのイタズラにより、彼らが乗せられたのは、家畜たちと一緒の貨物便だった。
ラサードと一緒の飛行機に宝石泥棒の一味トニー、マウス、シュガーの三人が乗っていた。盗んだダイヤをボスのデンプシーに引き渡すためである。ところが、ダイヤの入った鞄が、空港でラサードの鞄とすり替わってしまった。トニーたちは、デンプシーに鞄を渡す際にようやくそのことに気が付いた。鞄に入っていたのは、ラサードの大切にしている金魚鉢だった。
マイアミの降立ったラサードたちは、ラサードの甥の警官ニックと合流。大会が始まるまでの間、ハイタワーたちはビーチで遊んで地元の人たちと親睦を深めた。ニックは、プールサイドでスタイルの抜群の婦警ケイトと出会い、良い仲に。そして、ハリスとプロクターは、連中のイタズラと当人たちの間抜けのおかげで、例のごとくのひどい目に遭うのだった。
二十四時間以内にダイヤを見つけないと殺す、とデンプシーに脅されたトニーたちは、自分たちの鞄を持っていったと思われるラサードを血まなこで捜していた。そして、ようやく、ホテルの前でラサードを発見。トニーたちはラサードを追いかけるが、いつのまにやら周囲は警官の制服ばかり。ラサードが警官と知ったトニーたちは愕然とするのだった。
鞄がすり替わっていると気付いていないラサードは、鞄に入っていたビデオカメラを誰かのプレゼントと勘違い。だが、実は、そのカメラの中にダイヤが仕込まれていた。トニーたちはあの手この手でラサードからカメラを奪おうとするが、その都度失敗。そのうち、約束の二十四時間が近づこうとしていた……。