ロス市警でもっともアブナい刑事コンビと、
外交特権を悪用して麻薬の密輸を行う某国領事との対決を描く。
リーサル・ウェポン2
炎の約束
LETHAL WEAPON 2
1989
アメリカ
114分
カラー
<<解説>>
クレイジーな白人刑事とベテランの黒人刑事のコンビの活躍を描く、人気シリーズの第二弾。主要キャスト、主要スタッフは脚本家以外は前作と変らないが、格段にスケールアップしたアクションで見せるエンターテインメント作に仕上がった。「リーサル・ウェポン」シリーズのイメージを決定付けたといったも良い作品である。
今回、リッグス刑事(メル・ギブソン)とマータフ刑事(ダニー・グローヴァー)が挑むのは、前作に続いて麻薬がらみの事件。麻薬組織の黒幕にいるのは、チンピラ風情の悪党ではなく、外交官という普通の刑事では手の出せない相手。しかし、普通の刑事ではないのがリッグスとマータフ。警察のバッヂをはずし、自分たちのやり方で黒幕を追い詰めていく。物語の終盤では、マータフがこれまでに作ったリッグスへの貸しを返す形の活躍を見せる。また、リッグスと新たな女性(パッツィ・ケンジット)とのロマンスもあり。
ストーリーは、わりと刑事もののセオリーに沿っていた前作に比べると、刑事ものとしての考証はデタラメな上、展開も都合の良すぎるものになっている。特にひどいのは、ダーティ・ハリーも真っ青の違法捜査の連発。怪しければまず撃つ、というくらいの勢いである。刑事アクションというより、ヒーロー・アクションに近いノリだが、破天荒な捜査スタイルに普通じゃない刑事たちの個性が現れているし、ひいては、それがシリーズ全体の個性となって現れるという結果となった。
前作ですでにアクションの派手さは目を引いていたが、本作ではさらに派手さとアイデアに磨きがかかっている。便器に爆弾を仕掛けられるエピーソドは、シリーズを語る上で欠かすことが出来ないし、建物をひっくり返すなんていう漫画みたいなことを実際に(特撮なんだろうけど)やってしまうところなども唖然である。本作がストーリーよりアクション・シーンを優先させていることは間違いないが、それを象徴するものとして、リッグスが拳銃でヘリを撃ち落すシーンが挙げられる。前作にも同様のシーンがあったが、あくまでリッグスのクレイジーさを印象付けるためであり、ヘリは撃ち落せなかった。つまり、本作は拳銃でヘリを撃ち落せてしまうような世界に突入しているのである。
アクションに加えて力が入っているのは、キャラクター同士の掛け合いである。リッグスのマータフの関係は、いつのまにか気心が知れているようで、悪態をつきながらも、互いを信頼している様子がよく出ている。前作のパロディだが、便器爆弾のくだりで「いちにのさん」の合図のタイミングで揉めるお約束なんか最高だ。リッグスとマータフを行動をともにするキャラクターとして、二人が護衛する証人が登場。この証人を演じるジョー・ペシのそこつ者っぷりが絶妙で、二人だけの時よりも変化のある掛け合いが楽しめる。過激なアクションとこの軽妙な掛け合いの交互に繰り返されることで、非常にテンポのよい作品に仕上がっている。
<<ストーリー>>
ある夜のロサンゼルス。車で溢れ返る街を猛スピードで走り抜ける逃走車。そしてそれを滅茶苦茶な運転で追いかけるのは、ロス市警の刑事コンビ、マータフとリッグスだった。マータフたちは犯人を逃がしてしまうが、乗り捨てられた車の中のトランクの中から、大量のクルーザーランド金貨が発見された。どうやら、マータフたちの考えていたより、やっかいなヤマらしい。
マータフたちの追跡を振り切った男は、アパルトヘイトの存在する某国の領事ラッドの部下だった。ラッドは失敗を犯した部下を殺すと、別の側近のアドルフにマータフを脅すよう命じた。マータフは深夜に男たちに押し入られ、下手な真似はしないよう警告を受けた。マータフは、男たちがやってきた理由があの金貨にかかわることだとピンと来た。
マータフがそんな危険な目に遭ったか、彼とリッグスは現場から外され、ある事件の証人の護衛を上司から命じられた。マータフたちが気の進まないまま、証人が泊まっているという高級ホテルの部屋に向った。証人はレオ・ゲッツといううさんくさいチンケな銀行員。護衛は危険が伴う任務ではないはずだったが、部屋にやって来たルームサービスが、いきなり銃を出してレオに向けた。リッグスは殺し屋ともみ合いになるが、逃げられてしまった。
レオは命を狙われるハメになった経緯をマータフたちに話した。レオはある麻薬取引の組織から、儲けた金を合法化する作業を任されていた。だが、それをいいことに、レオは組織の金をちょろまかしていたのだ。レオは組織やそのボスのことを詳しく知らなかったが、組織に興味を持ったリッグスに頼まれ、一度だけ行ったことのあるボスの邸を思い出し。そこへ案内した。
リッグスはマータフの制止を無視して、組織のボスの邸に侵入。そこで、ホテルでレオを襲った殺し屋を発見した。リッグスに気付いた殺し屋は、外に停めてあったレッカー車で逃走。リッグスは必死に車にしがみついて殺し屋に迫った。だが、殺し屋は事故を起こして即死してしまった。
ボスの邸に戻ったリッグスたちは、何かを運び出そうとしていたと男たちを逮捕しようとした。その時、騒ぎを知った邸の主が奥から現れた。それはラッドだった。ラッドはリッグスとマータフが例の刑事だったことに気付くと、外交特権と治外法権を盾に彼らを追い返した。さすがのリッグスもこれ以上は手出しは出来なかった。どやらラッドは、表向きは外交官だが、裏では麻薬と金貨とドルの三角貿易を行っているようだった。
リッグスはラッドに揺さぶりをかけるため、彼の周辺に付きまとった。領事館に通ううち、リッグスはラッドの秘書のリカと親しくなっていった。一方、その日、マータフが無断欠勤をしていた。リッグスがマータフの家に様子を見に行くと、マータフは便所で便器に腰掛けていたまま。それというのも、組織により便器に爆弾を仕掛けられたのだ。リッグスは爆弾処理班を呼び、どうにか無傷でマータフを救出しのだった。
マータフは領事館に向かい、そこにいた黒人たちのデモを煽った。領事館の職員たちが騒ぎの対応に追われている隙をつき、リッグスが館内に潜入。ラッドに忍び込み、デスクの上のメモ帳を一枚持ち去った。メモには、アルバ・バーデンという女性の名前が記されていた。マータフにはその名前に聞き覚えがあったが、すぐには思い出せなかった……。