不登校の中学三年生が家を飛び出し屋久島の縄文杉を見に行く。
旅の途中で出会った人々との関わりを通し少年の成長を描くドラマ。

十五才
学校W

2000  日本

115分  カラー



<<解説>>

山田洋次の「学校」シリーズの最終作。学校をテーマに描いてきた本シリーズが、今度は不登校児童にスポットを当る。家出をした少年と旅の間に出会った人々とのふれあい通じ、少年の成長していく様を描いていくロードムービー形式のドラマである。原案となったのは、NHKの討論番組に出演して注目を集めた不登校児のカリスマ・松本創の体験(屋久島旅行の顛末は、後に刊行された著書に納めれた)である。出演は、本作が映画出演二作目となる金井勇太。にきび面の何処にでもいそうな等身大の少年を好演。後半に登場する老人役に大御所・丹波哲郎。父親役なはも前作に引き続き小林稔侍が登場。老人の息子を演じるのは、「男はつらいよ」の博役でおなじみの前田吟なのだが、役名が“満男”なのはシャレか?
前三作とも校舎を舞台とした物語であり、監督も学び舎にこだわって、このシリーズを撮っていたのかと思われたが、そうでもなかったようだ。本作には学び舎としての学校は登場せず、学校は校舎の外に求められていく。教育弱者、障害者、不況・リストラといった社会問題を次々と扱ってきたこのシリーズが最後に扱うのは、不登校や引きこもりの問題。学校に通えない者は、学校をテーマとしたドラマを撮る上で無視することは出来ない大きな存在である。学校というテーマから離れるが、昨今の社会の最重要課題である高齢者問題も扱い、そつなく脚本に取り入れられているところは山田節の真骨頂。最後ということもあってか、セリフのひとつひとつのメッセージ性が強く、少年の言葉を通じ、学校では学べない価値の存在を訴えている。



<<ストーリー>>

学校に通うということに疑問を持った中学三年生の少年・川島大介は、もう半年も学校に行っていなかった。大介は、屋久島にある樹齢七千年を越えると言われる縄文杉を見れば元気が出るのではと考え、ある日、家出同然に一人でヒッチハイクの旅に出発した。それは彼にとって初めての冒険だった。
親切な長距離トラック運転手の佐々木に拾われた大介は、大阪まで乗せてもらい、そこで大庭すみれという女性ドライバーのトラックに乗り継いだ。熊本のすみれの家に泊めてもらうことになった大介は、部屋に引きこもっている長男・登を紹介された。活発な長女に比べて、登のことが悩みの種であったすみれは、大介が息子の友達になってくれることを期待した。翌日、すみれに港まで贈ってもらう事になった大介は、一晩のうちに親しくなった登から一遍の詩を贈られた。すみれは、詩につづられた息子の本心をはじめて知り、涙したのだった。
大介は船で屋久島に渡った。もう縄文杉などどうでもよくなっていた大介だったが、山麓で出会った一人旅の女性に同行させてもらうことに。道程は大介の想像を超えていて、はるかに険しかったものだった……。





<<スタッフ>>