あいつはまだ生きていた!
バハマの孤島で去年の夏の惨劇が再び起こる。
ヒットホラーの第2弾。

ラストサマー2

I STILL KNOW WHAT YOU DID LAST SUMMER

1998  アメリカ

100分  カラー



<<解説>>

「スクリーム」シリーズのケビン・ウィリアムスンが脚本を書いたことが話題となりヒットした前作『ラストサマー』の続編。しかし、ウィリアムスンが抜け、脚本は前作のプロデューサたちが書いている。監督もホラー経験がなく、代表作が『ジャッジ・ドレッド』というジム・ギルスピーも交代している。ただし、主役は続投し、ジェニファー・ラブ・ヒューイットでセクシーな魅力を振りまく。また、いろんな映画でちょくちょく見かける黒人のおじさん俳優ビル・コッブスの出演がシブい。クレジットは無いが、ジャック・ブラックがで出演しているのは、ファンには要チェックかも。
惨劇の舞台は小さな港町から、シーズンオフのリゾート地である孤島へ移され、外界から遮断された島における密室的な恐怖を描いていく。前作は、誰が犯人かわからないという、「スクリーム」シリーズから受け継がれるサスペンス的要素が多少はあったが、本作ではそれがばっさりと切り捨られて、はじめから犯人丸出し。その結果、リゾート地で若者たちが殺人鬼に次々に殺されていくという「悪魔のいけにえ」や「13日の金曜日」などのショック描写先行ホラーに仕上がった。なにかと思わせぶりなようでそうでもなく、なんの捻りもない展開であり、クライマックスで明らかにされる新事実も期待通り。しかし、複線ばかりを貼りまくって観客を煙に巻くような不誠実な作品より好感じられるのは、前作同様である。
主人公やその友人により二度も殺されている犯人であるが、不死身の超人や悪霊ではなく、生身の人間である。本作では、犯人の経歴や家族関係も明らかにされていく。本作も前作と同様、主人公に自分のしたことを恐怖を持って分からせることを目的として行動していく。生身の人間だから、二度も殺されて怒るのもごもっとも。しかし、主人公を怖がらせるために犯人がとる演出は、カラオケの画面に意味深な文を映し出したり、主人公だけ死体を発見させた後、すぐ隠したりなどと、サービスがいささか過剰である。通常のホラー映画では、超人や悪霊の仕業による現象とされる演出を、生身の人間にやらせるのは、設定に無理があるように思えるが、手の込んだ細工を考案し、実行に移してきた犯人の苦労と努力を想像して楽しむという観かたも面白いかもしれない。
2006年に『ラストサマー3』がビデオでリリースされたが、鉤づめ男の話が都市伝説化しているという設定の物語で、ストーリー的なつながりは無いようだ。



<<ストーリー>>

故郷サウスポートを出て、ボストンで大学に通うジュリー。だが、一昨年の夏の出来事を発端にした去年の夏の惨劇は、今だにジュリーの心を苦しめ、度々悪夢を見せていた。去年、確かに始末したはずのベン・ウィリスが、どこかでまだ生きているような気がしてならず、最近は、ちょっとしたことでも神経過敏になっていた。クラスメイトのウィルは、そんなジュリーのことを、親身になって心配してくれていた。ウィルはとても良い人で好感が持てたし、ルームメイトのカーラもすすてめくれるのだが、やっぱりジュリーが好きなのはレイだった。
独立記念日が迫ったある朝、ジュリーとカーラの部屋にラジオDJから突然、電話がかかってきた。DJから出された「ブラジルの首都は?」というクイズにカーラが「リオ」と答え、バハマの孤島タワーベイへの四人一組の旅行を獲得した。大喜びのジュリーとカーラは、早速、旅行に誘う相手を考えた。カーラはボーイフレンドのタイレル。ジュリーもレイを誘うため、港で働いている彼に電話をかけた。だが、ウィルのことでヤキモチを焼いていたレイは、なんとなく、「漁で忙しい」などと嘘をつき、ジュリーの誘いを断ってしまった。だが、後ろ髪ひかれるものがあったレイは、同僚のデイブの説得で思い直し、旅行に行くことにした。
デイブの提案で、ジュリーに知らせないまま、デイブと二人でまだ暗いうちに車で出発した。何も知らずに出発したジュリーを待ち伏せて、驚かせようというのである。車を走らせていたレイは、前方に事故で立ち往生している車を発見した。様子を見るため事故車に近づくと、そこには死体が。レイが驚いて引き返そうとしたその時、車で待っていたデイブにレインコートを着た鉤づめの男が襲い掛かった。レイはすぐにそれがベンだと確信。レイは、車で追ってきたベンから走って逃げるうちに、崖から転落し、意識を失った。
翌朝。結局、待ち合わせ場所にはレイは現れなかった。代わりにやってきたのは、ウィルだった。カーラの差し金である。こうして、ジュリー、カーラ、タイレル、そして、ウィルの四人は、飛行機と船を乗り継ぎ、タワーベイ島に向った。ところが、島のホテルに着いてみると、観光客は自分たち以外にはなかった。支配人のブルックスは、独立記念日以降は島に嵐がやってくるため、シーズンオフとなることをそっけなく告げた。バカンスの間、島にはジュリーたち客四人と、ホテルの従業員六人の計十人しかいなくなるようだった。
夜になると、ジュリーたち四人は、バーテンダーのナンシーが一人でやっているホテルのバーで飲んだ。バーにカラオケが備え付けられているのを見つけたカーラにそそのかされ、ジュリーが歌を歌うことに。だがその時、モニターに歌詞の代わりに「まだ去年の夏のことを覚えているぞ」という文が現れ、ジュリーを驚かせた。気が動転して部屋に戻ったジュリーが見たものは、一通の封筒。それは、ウィルが用意してくれたサプライズだった。だが、ジュリーは、背後に手にして立っていたウィルに飛び上がるほど驚き、プレゼントの花を台無しにしてしまうのだった。
その頃、船着場では、そこで働くダレックが、やってくる嵐に備えて、ボートを桟橋につなごうとしていた。だが、足にロープを引っ掛け、海に落ちてしまった。ダレックは、桟橋に立っていた人影に助けを求めるが、それはレインコートの男だった。ダレックはレインコートの男の餌食となった。すぐ近くにプール係のタイタスがいたが、彼はグレックの発した悲鳴には気付かなかった。一方、レイは病院で意識を取り戻していた。病院を抜け出しレイは、ジュリーに危険を知らせるため、公衆電話からホテルに電話をかけるが、誰も出る気配がなかった。
カーラとタイレルとウィルがプールで遊んでいる時、レインコートの男の更なる被害者が出た。掃除のために部屋を回っていたメイドのオルガである。既にレインコートの男はホテルの一室に潜伏していたのだ。一方、一人で部屋にいたジュリーはクローゼットの中に吊るされていたダレックの死体を見つけて悲鳴をあげた。ところが、悲鳴を聞きつけたカーラたちがやってくることには、クローゼットの死体は跡形もなく消えていた。ジュリーはブルックスに助けを呼ぶよう求めるが、嵐の間は船は来れないし、電話も普通になっているという。それどころか、ベンに狙われているというジュリーの主張を信じるものはいなかった……。





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