死に興味を持つ三人の少年たちと一人暮らしの老人の奇妙な交流を描くドラマ。
夏の庭
The Friends
1994
日本
113分
カラー
<<解説>>
湯本香樹実のジュブナイル小説の映画化。少年と老人の交流を描いたドラマというと、在り来たりに思われるかみしれないが、少年の視点から一人暮らしの老人の姿を描いた社会派の面と、死をテーマとした哲学的な面を持っているところが特徴。イマドキの小学生が人の死の瞬間を見たいがために、死にそうな老人を監視する、という話の入り口はちょっぴり不徳な感じがするが、死というテーマに対してヘンに構えたりせず、肩のこらない軽いタッチで描いている。老人の家の庭が物語のキーとなり、その庭が美しく変わっていくつれて、老人の心が開かれていくという仕掛けは、バーネットの「秘密の花園」へのオマージュか。オーディションで選ばれたという子役三人は、いかにもその辺ににいそうな子供で好感を受ける。相米監督のちょっと小憎らしい子供の描き方も新鮮だが、演技はやはり素人。一人暮らしの老人に扮した三國連太郎の魅力につきる作品となった。
<<ストーリー>>
祖母の死をきっかけに死に興味を持ち始めた小学生、木山、河辺、山下の三人は、人の死に際を見るために、じきに死ぬであろう一人暮らしの老人、喜八に目をつけ、彼を張り込んだ。喜八は近所でも敬遠されている変わり者の老人で、人付き合いをせず、荒れ果てた家でに引きこもるように住んでいた。
木山たちは、喜八に気付かれないように彼のことを観察していたが、やがて見つかってしまい、そこから交流が始まった。夏休みに入る頃には、木山たちは、喜八の家で彼の生活の手伝いをするようになり、荒れた家と手入れをしていない庭を直すことになった。いつしか、三人の少年たちと一人の老人の間には、友情のような感情が芽生えていた……。
<<スタッフ>>