世界の文学作品のヒーローたち7人により結成された
「超人紳士同盟」の活躍を描くアドベンチャー・ファンタジー。
リーグ・オブ・レジェンド
時空を超えた戦い
THE LEAGUE OF EXTRAORDINARY GENTLEMEN
2003
アメリカ/ドイツ
110分
カラー
<<解説>>
19世紀のイギリスの幻想文学の主人公たちにより決させいれた“怪人連盟”が、世界制服を企む悪人と戦いを繰り広げるというアメリカン・コミック「リーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメン」の映画化。日本で言えば、『七人の侍』と『魔界転生』を足して二で割ったようなものといったところだが、「ジャスティス・リーグ」(スーパーマンやバットマンといったアメコミのヒーローが一堂に会するコミック)の文学版パロディか、「X−MEN」の前世紀版パロディといったほうが近いようだ。
総勢7名の怪人たちは次の面々。「ソロモン王の洞窟」よりアラン・クォーターメイン。「吸血鬼ドラキュラ」よりヒロインのミナ・ハーカー。「透明人間」よりホーレイ・グリフィン(ただし、権利上の都合によりロドニー・スキナーという名で)。「海底2万里」よりネモ船長。「ドリアン・グレイの肖像」よりドリアン・グレイ。「ジキル博士とハイド氏」よりジキル博士(ハイド)。そして、アメリカ映画なのでアメリカ文学のヒーローも、ということで、原作には登場しないトム・ソーヤが「トム・ソーヤーの冒険」より、ねじ込まれる格好で参加。そして、黒幕には英文学史上最大の犯罪者が登場。
「時空を超えた…」という副題だからと言っても、先に挙げた『魔界転生』のように、文学の主人公が時空を超えて転生してくるという話ではない。物語の舞台は主人公たちが活躍していた19世紀のイギリス。謎の監督者“M”の呼びかけにより集められたクォーターメインら七人の怪人紳士たちが、勃発の恐れがある世界大戦を防ぐためにテロ対策に借り出されるというのがことの発端。ところが、彼らの活動の裏に隠された真の目的が明らかになると、事態は思わぬ方向へ……という物語である。
アメコミの世界ではこの程度は当たり前だが、日本人の感覚ではどうにもアホくさい内容で、この年の最高の珍作として話題となった。楽しむには、ある程度の文学的な教養が求められることから、大人向けなのだが、シャレをシャレとして楽しめ、無駄な時間を過ごすことも潔しとする懐の深い人でない限りは、あまりおすすめできない作品だ。デタラメな物語に目くじらを立てなければ、アドベンチャーとしてそこそこ楽しめる。七人もヒーローを登場されると散漫になってしまいそうだが、それそれの個性的な能力を駆使した見せ場を満遍なくもうけ、それにらをうまくストーリーにからめているところは、評価に値するだろう。SFXの迫力も申し分ない。ちなみに、既に俳優を引退しているショーン・コネリーの実写では最後の出演作となる。とんでもない置き土産を残していってくれたものだ。
<<ストーリー>>
十九世紀末。かつてのハンターとして名の知れたアラン・クォーターメインは、冒険中に最愛の息子を失ってからというもの、アフリカのケニアで隠遁生活を送っていた。その頃、ヨーロッパでは戦争勃発の緊張が高まっていた。イギリスでイングランド銀行が戦車に襲撃され、ドイツで軍需工場から科学者が誘拐されたのだ。
ある日、アランのもとへイギリスから使いがやってきた。世界大戦を防ぐために協力をして欲しいという依頼だった。息子を奪った大英帝国とは関わりを絶ってきたアランだったが、事態の重大さを知ると、依頼を引き受けた。
ロンドンへ向かったアランは、彼を呼び寄せた張本人、“M”ことジェームズを紹介された。アランの他に集められたのは、海賊のネモ船長、科学者のミナ・ハーカー、そして、なぜか姿を見せないロドニー・スキナーは、なんと透明人間だった。“M”は、それぞれに特技を持つアランたちを“超人紳士同盟”と呼んだ。
ヨーロッパ各地でテロ行為を行なっているのは、“ファントム”を名乗る男であるという。ファントムの次の標的は、秘密会議が開かれるベニスであった。アランたちの任務は、ベニスが破壊されることを事前に防ぐことにあった。
アランたちは五人目の仲間を迎えるため、ネモの作った“自動車”と呼ばれる未来の乗り物に乗り、ある邸を訪ねた。その邸の住人ドリアン・グレイは、ハーカーの元恋人であり、アランの恩師でもあったが、なぜか昔と変わらぬ青年の姿だった。その時、ファントムが手下を引き連れて現れ、アランたちに襲い掛かった。
アランたちはファントムたちと戦った。戦いの最中、グレイは体を蜂の巣にされるが、すぐに傷口が塞がった。彼は肖像画の魔法により、不死身の体を得ていたのだ。ハーカーはファントムの手下に捕まってしまうが、反撃に転じ、敵の首筋に喰らいついた。彼女は、ヴァン・ヘルシング教授と共にドラキュラと戦ったジョナサン・ハーカーの妻で、自らも吸血鬼だったのだ。アランたちの闘いには、ウィンチェスター銃を構えた少年も加勢した。その少年はアメリカから来た諜報部員で、トム・ソーヤと名乗った。
ファントムたちを追い払ったアランたちは、最後のメンバーである男を“捕らえる”ため、ネモの潜水艦“ノーチラス号”でパリへ向かった。深夜のパリを屋根伝いに走り回る怪人こそ、最後の仲間である。アランとトムは怪人を網の中に捕らえ、“ノーチラス号”の中へ運んだ。しばらく手のつけられないほどあばれていた怪人だったが、しばらくすると、アランたちの目の前でみるみる巨体が小さくなり、気の弱そうな紳士に変身した。紳士はジキル博士と名乗った。ジキルは自ら開発した薬を飲み、本能のままに行動する怪人ハイドに変身してしまうのだ。
こうして、七人の仲間がそろった。アランたちは“ノーチラス号”に載ってベニスへ向かった。船旅の最中、ネモは船内で火薬を発見した。ハーカーが分析した結果、それはカメラのフラッシュを炊くたくめの薬品だった。一方、ジキルは薬が一瓶なくなっていることに気付いた。船内を探り回っているスパイがいるらしい。ジキルたちは、ここしばらく姿が見えくなっていたスキナーをスパイと断定した。
やがて、アランたちはベニスに降り立った。ベニスの街では既にカーニバルが始まっていた。アランたちが行動を開始しようとしたその時、水路の底に仕掛けられていた爆弾が次々と爆発。それをきっかけにドミノ倒しのように建物が倒壊していった。アランは咄嗟の判断で、ドミノの倒しの先にある建物を“ノーチラス号”のミサイルで破壊することに成功。アランたちは自動車に飛び乗り、まだ破壊されていない区画へ急行した。アランは現われたファントムと対決するが、その正体は意外な人物だった……。
<<スタッフ>>